学部長 × 一期生 スペシャル対談

 

 

【対談メンバー】         

 

             
          むらせ としき
■氏  名  村瀬 俊樹
■研究分野  発達心理学
■出  身  京都府
■趣  味  スイミング
          うえだ こうへい
■氏  名  植田 航平
■所  属  心理学コース
■出  身  兵庫県
■趣  味  野球
          たきやま ともか
■氏  名  瀧山 友香
■所  属  福祉社会コース
■出  身  島根県浜田市
■趣  味  バレーボール
         かたおか ゆうき
■氏  名  片岡 由耀
■所  属  身体活動・健康科学コース
■出  身  岡山県
■サークル  島大Spirits!

 

   

        

 

島根大学人間科学部がスタートして一年が経ちました。今回は一期生が一年間学んで感じたこと、一期生だからこそ感じる不安などの本音を学部長にぶつけました。学部長の学生に対する思いや、「こんなことしたい!」というビジョンを持ち、それを実現するために積極的に取り組む学生の思いを聞くことができました。人間科学部の授業ってどんなことするの?先生は怖いのかな?そんな疑問にもお答えします。

 


 「人間科学」で地域に出かけていく、数少ない大学

【片岡】他の大学や学部・学科に誇れる、島根大学人間科学部の強みは何ですか?

【村瀬】人間科学部は心理学コース、福祉社会コース、身体活動・健康科学コースと三つのコースが一つになって学部が形成されています。それぞれのコースの授業だけではなく、他のコースの授業も受けることができ、人間の心の面と体の面、社会的な面といった、様々な側面を学ぶことができるのは一つの強みだと思います。また、一回生の時から人間科学地域実践入門の授業で地域の現場へ行き、そこで学ぶというのが大きな特徴だと思います。地域のことを学ぶ学部というのは他大学にもありますが、人間科学という面で地域に出かけていく大学は、そんなに多くはないと思います。現場だけではなく、理論的・科学的な観点も大事なので、座学と実習を交互に繰り返しながら学習できる点が強みです。

 

 

自分が何を学びたいか考えるきっかけとなった実習

【村瀬】みなさんは今二回生ですが、一年間学習してみてどうでしたか? 

【片岡】身体活動・健康科学コースは学生主体な雰囲気で、地元の方と健康を意識したレクリエーションを企画して開催する時間もあって、とても楽しかったです。

【村瀬】心理学コースはどうでしたか?

【植田】心理学コースは米子や松江などに行き、福祉や子育てに関係する現場を見学しました。今の自分たちではカウンセリングまではできないので、難しいところもありますが、心理学というのはどの場面においても関わりがあると思っています。学校で教わる座学だけではなくて、人と関わるところではどのような心理的要因があるのかということをグループで相談して、意見を練り上げました。

【村瀬】カウンセリングの場面のように心に踏み込むことはできないので、そこは難しいところですね。福祉社会コースはどうでしたか?

【瀧山】福祉社会コースは地域と高齢者と児童と障がい者の現場に行き、自分がどのようなことを勉強したいかを考えるのに良いきっかけになりました。今、自分が興味のある現場にも行き、実際に仕事をしているところを見て、具体的な仕事の様子がわかって良かったです。

   

 

 

「伝え方」を勉強するIPM

【村瀬】IPM(インタラクティブ・プレゼンテーション・ミーティング)についてはどうでしたか?三つのコースがそれぞれお互いに勉強していることを交換し合うことを目的に学習しました。大学の中という限られた世界ですが、それぞれ重点の違う人たちがお互いの視点を話し合う、伝え合うことで、自分が当然だと思っていることが他の事を勉強している人にとっては当然ではなく、一から言わないと伝わらないことがよくわかると思います。社会に出たらいろいろな人と仕事をしないといけません。人とコミュニケーションをとるときに、相手によってどのように伝え方を変えていくか、ということを勉強することを目的にIPMでは学習しています。学部全体で色々な人とコミュニケーションを取ってほしいと思っています。

【片岡】IPMルームは学問だけではなく、いろいろな人と交流する場となっています。実際、植田くんとはIPMルームで良く会って話をしています。IPMルームにみんな集まってきて、レポートを書いたり、お互いに質問をしたり、わからないことがあれば教えあったり、議論をする場となっています。面白い人にも会えるし、IPMルームはとてもいいなと思っています。

【植田】IPMルームの壁がホワイトボードになっていて、そこに書くことができるのでとても便利です。

【片岡】テスト勉強の時にはIPMルーム内のいろいろなところで、それぞれ人体構造を書いて勉強していました。

【植田】授業外でもIPMルームは結構使っています。

【村瀬】それぞれコース内ではみんな同じ授業を取るので、コースの人と仲良くなるのは当然ですが、他のコースの人と交流して仲良くなって、いろいろなことを情報交換してほしいなと思っています。

【植田】昨年度の地域包括ケア概論で、ルンド大学(スウェーデン)の先生が来られました。ああいった感じの国際的な取組みがこれからもあるのか聞きたいです。

【村瀬】人間科学部のプログラムとしては、ルンド大学への海外研修だけですが、例えば他学部の海外研修なども全学に開かれているので参加してもいいし、協定校の交換留学に申し込んでもいいと思います。福祉社会コースの西﨑先生がカンボジアのワークキャンプの研修をやる予定もあるので、ぜひ参加してほしいと思います。学生のみなさんには、海外に目を向けてほしいと思っています。今年もルンド大学の先生に来てもらえると思いますし、来年は、ルンド大学への研修も予定しています。

【植田】海外研修が楽しみです。ぜひ行ってみたいです。

 

 

ボケ・ツッコミができる先生との関係性

【植田】僕たちは一期生で先輩がいないので、まったく学部の未来が見えないというか…将来のことが想像できないところがあります。資料に載っていることはわかりますが、ゼミなどこの先どうなっていくのか少し不安です。

【村瀬】ゼミに関しては、コースによって多少違いがあると思います。少なくとも四回生になったら卒論指導の先生が決まると思うので、その先生のもとで自分の卒論をやりながら勉強していくという感じになると思いますが、それもコースによってさまざまなやり方になるのではないかと思います。

【植田】高校生の頃は、大学で行う研究のことは全然分かりませんでした。実際今もまだよくわかっていませんが、自分たちには先輩がいないので楽しさもあり、不安もありといった感じです。

【片岡】身体活動・健康科学コースは少人数なので学生同士仲が良くて、先生と学生も結構仲が良いので、いい感じのアットホーム感があります。

【村瀬】先生の印象はどうですか?

【植田】人間科学部の先生はユニークな先生が多いですね。あと、優しい先生が多いです。大学の教授というと、もっと怖いのかと思っていましたが、そんなことはなかったです。

【片岡】面白い先生ばかりです。最初はちょっと怖いなと思うこともありましたが、今はもうボケ・ツッコミができるような関係性です。

【村瀬】先生は話しやすいですか?

【植田】話しやすいです。研究室を訪れるとついつい話し込んでしまい、気付いたら2時間経っていることもありました。

【片岡】学生の人数が少ない分、名前を覚えてもらえるのでありがたいです。

【瀧山】大学は先生との距離が遠いイメージでしたが、入ってみたら距離が近かったです。いろいろなことが相談できていいなと思います。

【村瀬】島根大学全体が先生と学生の距離が近いと思います。距離が近くて割と気楽に話ができるところは、島根大学のいいところだと思います。

【植田】僕たちも学生目線でどんどん発信して、いい学部を作っていければと思っています。そういう話を先生とする機会はあまりありませんが、いい学部になったらいいなと思っています。

【村瀬】新しい学部なので、そういう意味ではみなさんはパイオニア・開拓者です。良くも悪くも、何をやっても初めてです。

【植田】僕たちが頑張れば、他の大学に誇れるものができるのではないかと思っています。

 

 

 

自分の考えを持ちつつ、他人と協働できる人になってほしい

【植田】将来の話ですが、大学を卒業したら多くの人が就職活動か大学院進学かというように別れると思います。以前、地域を支える人を生み出したいという話を聞きましたが、人間科学部の学生に対してどういう学生に育ってほしいと思っておられますか?

【村瀬】一言でいうのは難しいですが、やはり、自分で考えて行動していってほしい。人からやりなさいと言われることもありますが、自分でこうした方がいいと考えながら行動できる人になってほしいです。自分一人でやれることには限界があって、どうしても他の人に任せたり、他の人と協働しないといけないことがたくさんあります。学生のみなさんには、自分の考えはしっかり持ちつつ、他の人の考えを聞きながら協働できる人になってほしいと思っています。

 

 

「心と体のことなら俺に任せろ!」と言えるようになりたい

【村瀬】今後、人間科学部でどのように学んでいきたいですか?カリキュラムは決まっていますが、こんなことをやりたいとか、こんなことができたらいいなといったことがありますか?

【植田】僕は勉強や研究がしたいと思って兵庫から来ているんですが、教えられることだけではなく、新しい設備を使って心と体の関係について自主的に勉強し、それを卒業研究にできたらいいなと思っています。他の大学の心理学部ではできない、心のことも体のことも両方知っているからこそできる研究をして、人間を科学するというか、「心と体のことなら俺に任せろ!」と言えるようになりたいと思っています。そういう気持ちもあって、心理学だけではなく身体活動・健康科学コースの授業も勉強しています。

 

 

実習で学んだことを将来に繋げて地元に貢献したい

【瀧山】私は島根県出身で、島根県で就職したいと思っています。一回生の時に島根県や地域でどんなプログラムをしているかを学び、実際の現場で見たことを具体的に将来に繋げられるといいなと思います。

【村瀬】人間科学地域実践入門の授業以外でも、いろいろな話を聞きましたか?

【瀧山】福祉社会コースでいろいろなところへ見学に行きましたし、地域包括ケア概論で雲南市やいろいろな地域での活動について聞けたのでよかったです。

【村瀬】三回生、四回生になると、二~三週間の期間で県内のいろいろな施設へ実習に行き、そこで学ぶ機会を設けようと計画しています。

 

 

健康について学んだ知識を東京オリンピックで生かしたい

【片岡】座学も大事ですが、人との関わりの経験から学ぶことがすごくあると思っています。学んだことを実践する場として、学生が健康教室などを開催するのも、個人的には面白いなと思います。また、昨年度の地域包括ケア概論の授業は、ものすごく収穫が多かったです。僕はその授業で来られた熊本の先生の所に、この春インターンシップに行ってきました。そんな学びの広げ方もあるなと思っていて、ぜひそういった現場の人や社会人の方の話をもっと聞いてみたいです。

【村瀬】そんな風に授業を活用してくれているのは、すごくうれしいです。

【片岡】僕たちが四回生になるときに、東京オリンピックがあると思います。せっかくオリンピックが日本であるし、健康のことを学んでいるので、島根大学の人間科学部がオリンピックに関わって何かできないかなと思います。

【植田】関東の大学だと、サポートのようなことをしていると聞いたことがあります。ぜひ何かあれば島根大学でもやりたいですね。

【片岡】大学として何もないのであれば、個人的にボランティアをしたいなと思っています。オリンピックに関わるという楽しみがあると、勉強もますます頑張れると思います。

 

 

島根には魅力がたくさん眠っている

【村瀬】受験生へメッセージをお願いします。

【植田】基本的に大学の勉強は、高校時代の暗記に苦しめられた勉強とは一線を画しています。誰でも知りたがるような心や体や自分自身のことが総合的・総括的に学べるところは、日本中で島根大学人間科学部の他にはあまりないということで、そこは本当に魅力的です。僕は野球が好きで、野球は「心技体」と言われますが、それを全部専門的に学べるのはありがたいし、勉強も楽しいです。島根県は都会から遠く離れていますが、魅力はたくさん眠っていると思います。人間科学部は新しい学部なので、これからの学部の未来は受験生の皆さん次第でどうにでもなると思います。

【片岡】島根は本当に人がいいですね。

【村瀬】人は優しいですか?

【片岡】優しいというか、人と人との繋がりが濃くて、とても楽しい地域です。島根県は最近、地域の魅力化といった点で注目を集めている県で活気があります。学外に出てみると、そのことがよくわかるし、面白いことをたくさんやっていて楽しいです。

【村瀬】それはいいことを見つけましたね。

【植田】学外に出ていきやすい環境というか、会いたい人にすぐ会えるのはありがたいです。

【片岡】優れた人にも比較的すぐ会えるので、その人との出会いから学ぶこともたくさんあります。もう少し学外に出る機会が増えれば、島根という地域をもっと楽しめると思います。

 

 

サークル活動でより深める地域との関わり

【村瀬】授業以外で、地域と関わるようなサークル活動をしていますか?

【片岡】はい。地域の活性化を目的とした、ボランティアサークルの代表をしています。代表になることによって、地域の方との交流も増えました。

【村瀬】それは非常にいいですね。島根県で頑張っている人はたくさんいらっしゃいますから、貴重な経験ができますね。

【片岡】人間科学地域実践入門でも地域のことが多少は見えますが、授業の範囲内だけだと足りない部分もあるので、地域でのサークル活動は自分にとってはとても大きいです。

 

      

 

授業を受けてみて興味が湧くこともある

【瀧山】自分の学びたいことが学べるし、人間科学部は最初からコースに分かれていないからこそ、いろいろな分野のことが学べます。そこから選択肢が増えて、自分のやりたいことをその中から選んで学ぶというのがいいと思います。

【村瀬】最初はそんなに興味がなくても、授業を受けるうちに興味が湧くこともありますしね。

【瀧山】そうなんです。授業を受けてみて面白いと思うこともあるし、そこはいいなと思います。

【村瀬】あまり最初から自分はこれだと狭い視野でみるのではなく、幅広く学んでもらいたいです。

【瀧山】コースに分かれた後も、他のコースの授業も勉強できるので、興味のあるものが学べる機会があっていいです。

【村瀬】それがまさに人間科学部の目指すところです。パイオニアである一期生と教員が中心となり、これからも力を合わせてより良い学部にしていけるよう、頑張りましょう。