授業科目概要

科目
区分
授業科目の名称  講義等の内容
専門教育 学部共通 地域実践基盤 人間科学入門セミナー  大学における学びに円滑に入って行けるように、他者とのコミュニケーションの取り方、文献検索など情報収集の仕方、アカデミックリーディング、グループワーク、アカデミックライティング、プレゼンテーションを、受講生自身がアクティブに参加することで学ぶ。取り上げるテーマは、地域社会における人間のかかえる問題に関することとし、内容的にも本学部における学びの導入となるようにする。
人間科学地域実践入門  人間に関する共感的・客観的理解に基づき、他者と協同して人々を支援する地域実践力の基礎を身につけることを目的とするとともに、地域実践展開科目における学習への動機付けを目指す。地域社会の現実と地域実践の意義を理解した上で、現場の声にも耳を傾けつつ、コース毎に設定された実習プログラムに基づき、入門的な現場体験と地域実践への関心の涵養に重点を置いて、地域社会における教育・福祉・医療等の現場を体感する。事前指導によって、実習先の具体的な状況と課題を十分把握しながら実習に臨み、事後指導とIPMによって実習体験を言語化・共有して、今後の地域実践学習の展開につなげる。
専門教育 学部共通 地域実践基礎 インタラクティブプレゼンテーションミーティングⅠ  コース内で、自分の学んでいることについて他の人に発表し、他の人の発表を聞いて、ディスカッションをする。そして、互いの発表がどのように関連しているのか検討する。また、学部全体で行われるインタラクティブ・プレゼンテーション・ミーティング(IPM)に正式メンバーとして参加し、上級生の発表に対して、質問をするなどして、積極的にディスカッションに参加する。これらのことによって、地域社会において人間がかかえる問題にアプローチする多様な視点に気づくとともに、発表の仕方を学ぶ。
インタラクティブプレゼンテーションミーティングⅡ  2年次におけるインタラクティブ・プレゼンテーション・ミーティング(IPM)での経験を踏まえて、また、自分たちが行ってきた地域実践の経験を踏まえて、グループで他の領域の人に対してその成果を発表し、ディスカッションをする。このことによって、自分の領域と他領域との観点の違いに気づくとともに、互いの関連性について考察し、他領域との連携可能性を考えるための足掛かりとする。
インタラクティブプレゼンテーションミーティングⅢ  4年間の学びの集大成として、自分の卒業論文、地域実践を個別に発表する。自らが学んできたことが、他の領域とどのように関連しているのかについての考察に基づき、地域社会において人間がかかえる問題に関して、他の領域とどのような連携が可能であるのか考察していく。
 また、自分と専門領域が近い人と話す場合、自分と専門領域が遠い人と話す場合、下級生のように知識が少ない人と話す場合、同級生や教員のように知識が多い人と話す場合のそれぞれに相手に応じて適切に伝えられるようにする。
共通基盤 人間科学概論  本講義は、各コースの教員がそれぞれ、人間に対してどのような視座からアプローチを行っているのかについて、専門分野の紹介をする形で講義を行う。これにより受講生がそれぞれ、人間に対して多様なアプローチがあることを理解すると同時に、持続的な関心を持って、人間の抱える様々な問題に対して主体的に関与していこうとする態度を学ぶことを目指す。さらに、受講生自身が、人間に対して、心理的側面、身体的側面、社会的側面のどの側面からアプローチを行う対人援助職を目指すのかを決定する一助とする。
専門教育 学部共通 共通基盤 人間科学研究法 人間について科学的に探究する際の基本的な考え方について概説し、受講生自身が自らその研究法を実施して理解が深まるようにする。仮説検証的な考え方、複雑な事象の中から要因を特定してその効果を検討する考え方、要因の効果と個人差を知るために群間分散と群内分散を検討することの必要性などについて講義し、テーマを設定して、因果関係を明らかにする実験、相関関係を明らかにする調査へ受講生自身が参加し、データを分析しながら体験的に理解が深まるようにする。そして、受講生自身が、地域における実践的活動において、科学的な方法で自他の実践を検討できるようにする。
心理学概論  心理学が研究対象としている「心」とは何かを説明し、科学的な方法で「心」を研究する基本的な考え方について理解が深まるようにする。認知、発達、学習、対人行動、動機づけについて、科学的な心理学研究ではどのようなことが明らかにされてきたか、その理論的な背景も説明しながら概説し、受講生が科学的な心理学の観点から、日常生活における人間の様々な心や行動について考察できるようにする。その際、人間の心や行動の個人差ばかりでなく、一般的な法則について関心を持ち、考えることができるようにする。
臨床心理学概論  臨床心理学概論では、臨床心理学の基礎について様々な方法論や理論から学び、臨床心理学の考え方や学び方を身につけることを目的とする。また、こうした理論や方法論を理解することによって、自分や他者、ひいては社会で起こっている出来事についても、臨床心理学的な視点から捉えるとどのように考えられるのか見直し、一つの事象に対しても様々な角度で分析することや、ものごとを多角的に捉える視点を養うことを目指す。
社会福祉原論Ⅰ  社会福祉の思想、歴史、制度、支援などの基礎について学ぶことが、この授業の目的である。

(オムニバス方式/全15回)
(4回)
 現代社会の変動に連動する社会福祉の移り行きを概観した上で、社会福祉を原理的に支える哲学思想、とりわけ西洋近代哲学に由来する人権・自立・連帯の基本理念を俯瞰し、あわせて社会福祉領域における倫理問題を検討する。
(4回)
 近代以降、社会福祉政策がどのように展開してきたのかについてその過程を概観する。①方面委員制度などの社会事業、②占領下での福祉制度の確立、③高度成長期の福祉制度の展開、④80年代以降の改革と現在の福祉政策の動向、といった諸点について検討する。
(7回)
 現代の福祉制度・政策や支援を体系的に理解できるよう講義する。主な授業内容は、①福祉制度の体系と構造、②福祉政策の関連領域、③福祉サービスの提供と利用の過程、④福祉における支援方法、などである。
社会福祉原論Ⅱ  社会福祉の制度・政策、利用者の抱える福祉問題・生活問題などの基礎について学ぶことが、この授業の目的である。
 社会福祉をめぐる制度・政策について、現代社会の課題を踏まえながら概説する。内容としては、福祉制度・福祉政策の考え方と実際、制度・政策を推進する主体、国と地方政府の役割と実態、計画等の制度・政策を推進する方法、について学ぶ。
 現代日本で生じている福祉問題・生活問題の深さと広がり、その緩和・解決のための制度・政策を正確に、そして立体的に把握できるよう、統計、事例、視聴覚教材などを用いて解説する。主な授業内容は、①大災害からの復興と福祉、②格差の拡大と所得の再分配政策、③福祉と貧困、④先進国の福祉モデル類型と日本の位置と課題、⑤東アジアの福祉に学ぶ、などである。
専門教育 学部共通 共通基盤 健康科学概論  地域に暮らす人々が抱える身体的、精神的、社会的な問題点について概略を学び、それらを科学的な観点から評価し分析するための基礎的能力を身につける。また、住民の健康を支えるために働いている様々な業種の役割を理解し、相互連携する基盤をつくる。また健康増進を目的として行政が行う施策について学び、また地域住民、あるいは職場の従業員が主体となって行う健康増進活動について学び、地域実践力の基盤を形成する。
地域社会 地域包括ケア概論  地域包括ケアシステムでは、行政機関、医療機関、福祉施設、公益法人、NPOなどの多種の事業体それぞれが医療・福祉活動、公衆衛生活動、保健衛生活動などの役割を分担してシステムを構築している。本講義では、それぞれの事業体についての専門性や特徴、役割などを体系的に学び、行政機関、事業体の専門性や役割の違い、地域住民との関わりについて理解する。次年度以降の地域実践型講義・実習の基礎となる知識の習得を行う。本講義は、行政機関・各事業体の専門職(県市町村、保健所、高齢者安心センター、医療機関地域連携室、NPO、訪問看護、訪問リハビリ、訪問歯科診療などの担当者)の協力を仰ぎ実践型講義とする。
社会学概論  本講義では、ごく身近な社会的事象を題材に取り上げて、常識的な視点を相対化しながらそれらを捉えなおす作業を行う。こうした考察を通して、社会学の基本的な発想や手法になじむことが本講義の狙いである。社会学という分野に含まれるテーマと視点の多様性に応じて、言語や役割といった主題からは人間と社会の関係一般について、貨幣や労働といった主題からは近現代社会の成立条件について、自由や平等といった主題からは現代的な自己のあり方について考察を行うことになる。
コミュニティ心理学  我々の住む町は、表だっては見えにくいものの、常に数々の問題やその種を抱えている。町内会の役員になって初めて気付くのではなく、普段からその可能性に思いをはせ、解決策を思い図ることは、コミュニティの発展に有益である。この授業ではコミュニティをシミュレートすることにより、現実の諸問題に柔軟かつ効果的に向かい合う態度を育む。シミュレーションには「共有地の悲劇」を改良した仮想世界ゲームを用いる。
地域福祉論Ⅰ  2000年に改正・改称された社会福祉法において、地域福祉を推進することが社会福祉の目的の一つと位置づけられた。その根底には、人間は「住み慣れた地域で親しい人に囲まれて暮らしたい」という基本的欲求を有する、という認識がある。本講義では、たとえ高齢であっても障害があっても若くして生活困難を抱えていようとも、地域で暮らしていくことのできる福祉のあり方を探っていく。
 講義の主な内容および目的は、次の4点である。(1)地域福祉が求められている社会状況と歴史について理解すること。(2)地域福祉を推進する専門職について理解すること。(3)地域福祉を推進する自治体福祉システムについて理解すること。(4)地域住民の生活実態と活動を理解すること、である。
地域文化論  地域社会の現状を考える上で、地域の伝統的な文化の理解は避けて通ることのできない課題である。この講義では、前半で日本の伝統的な地域社会の構造とその変容を、農村社会学や民俗学の知見をもとに整理し、それを踏まえて後半では、伝統的な地域文化、そのなかでもさまざまな祭祀や年中行事、葬礼や墓制のあり方、たたら製鉄にまつわる民間伝承等、山陰地域の具体的な宗教民俗の事例を中心に概説して、伝統的な地域文化が現代においてもつ意味を考察する。
専門教育 学部共通 地域社会 行政学  この授業では、行政学の全体像と代表的な各論の概略を教授することにより、政治行政に関わる基礎的な知識や多角的な視点を習得させることを目的とする。具体的には、行政概念や行政学の3側面などの考察によってその全体像を提示したうえで、政策過程論、政官関係論、意思決定論、行政責任論等の各分野を概観するとともに、現実行政に関わるさまざまなトピック(たとえば、議会統制、情報公開、市民参加、地方分権等)を取り扱う。
NPO論  この授業では、NPOの可能性と課題を探るなかで、市民活動や地域社会の現状を冷静かつ多面的に分析する客観的な視点を確立するとともに、受講生自身が当事者として市民活動や地域社会に積極的に関わっていく姿勢を涵養することを目的とする。具体的には、NPOや協働等に関わる基礎概念や基本的制度について学んだうえで、NPO当事者や行政担当者の生の声にも接しながら、とくに島根県におけるNPOの実態を調査・分析する。
中山間地域論  山陰地方の地域問題(過疎や条件不利地域の経済問題など)を題材にして、地域づくり(まちづくり、むらづくり)の理論や実践例について学習する。授業計画の前半部分では、日本の地域開発政策の意義と課題、山陰地方の地域問題の歴史について学ぶ。授業計画の後半部分では、内発的発展論、地域内経済循環論、地域内産業連関論などをベースとした地域づくりの実践例(大分県由布市、長野県栄村)、山陰地方の多様な地域づくりの取り組み事例(島根県海士町、鳥取県鹿野町ほか)を学習する。
地域産業論  山陰地方における地域経済の変容過程を、戦後復興、高度成長、低成長、バブル経済、バブル経済以後、2000年代以後などの時期区分にそって歴史的に学習する。また各時期において、(1)企業行動や地場産業の動向、(2)地域開発政策の展開、(3)地域の人口動態などに焦点をあて、島根県や鳥取県の地域経済が抱える課題について学ぶ。
人間理解 生命倫理概論  本講義ではまず、倫理の問題を考える上で必要な基本概念を整理した上で、1970年代にアメリカ合州国で登場したバイオエシックス(生命倫理学)の現在に至るまでの動向を、遺伝子、生殖医療、再生医療、終末期医療の4分野に分けて俯瞰し、さらにそれらに通底する原理的な問題構成として、患者の権利、生死の境界線の設定、優生思想の問題を取り上げる。その上でバイオエシックスの日本的展開の具体例として脳死・臓器移植問題を取り上げ、医療現場の生と死に関わる多様な論点を整理・検討する。
文化人類学  文化人類学は世界各地に暮らす諸民族、諸社会を対象にして、文化の多様性と普遍性を包括的に考察する学問領域である。本授業では、交換と贈与、言語、宗教、経済、儀礼、民族問題、オリエンタリズム、呪術、コスモロジーといった具体的なトピックを検討することで、この文化人類学的の基本的姿勢を学ぶ。そこから「グローバリゼーション」「多文化共生」「異文化への理解」といった現代社会の直面する諸問題に対し、文化人類学的なアプローチができるよう知見を深めることを目的とする。
芸術学  この授業は、映像を論じる際によく用いられる精神分析理論の入門と応用である。精神分析理論は、人文科学のさまざまな領域で応用され、芸術の領域でも(特に映画、写真、絵画、建築)大きな成果を挙げている。同時にさまざまな批判もされている。この授業は、これらの言説を理解するための準備である。授業では精神分析理論を芸術の解釈に用いながら、精神分析理論の概略とその芸術学における応用の例を学ぶ。
専門教育 学部共通 人間理解 比較宗教学  宗教は、あらゆる時代・社会を通じて普遍的に、しかしながら多様な形で存在する文化現象である。宗教学は、このような宗教現象を、特定の信仰ないしは宗教の立場に偏ることなく、人文・社会諸科学の多様なアプローチから客観的に研究しようとする学問である。
 本講義ではこのような宗教学の視点から、世界の三大宗教、すなわちキリスト教、イスラム教、仏教を取り上げてそれらの歴史を簡単に辿り、相互の比較を通じてその基本的特徴を解説する。その上で、日本社会における宗教のあり方も考慮しながら、人類の宗教文化の特質を考察する。その作業は人間存在の理解に不可欠であると同時に、国際理解のための基本的な視座の構築にも資するはずである。
人間と法  「社会あるところ法あり」と言われている。心と体をもつ生身の人間が、社会が形成される中で、個人としてさまざまな社会規範に囲まれて生活するようになる。それらの中には習俗や道徳、さらには国会が制定する法律などがある。それらの中で広い意味における法が、人間とのかかわりの中で、どのような目的の下にどのように発展し、どのように機能しているか。また、その中で生身の人間はどのように暮らしていけばいいのかということを、実例を挙げながら学ぶ。
人間と工学  ヒューマンインタ・フェースでは、人間の動作・姿勢・生理機能に加え、好みや満足度、表示の認知性、周囲との調和などの心理的ファクターも要求される。本講義では、ユニバーサルデザインをはじめ、学習障害者の脳トレーニングや運動障害者に対するコンピュータによる支援、ハイテク衣料素材など、最先端の人間を支援する科学技術について学ぶことができる。
・人間と工学の概要、ユニバーサルデザインとハイテク衣料素材、まとめ
・障がい者・高齢者の生活を支援するICT、支援機器のユーザ、支援機器のユーザインタフェース、コミュニケーション支援
・重度障害者の生活とICT、重度障害者の社会参加とICT、神経・筋疾患患者のコミュニケーション支援、これからの重度障害者向け支援機器
・高次脳機能障がいの概要と認知リハソフト活用事例、発達障がいと学習障がい、学習障がい児・者のための支援ソフトの活用事例
医学概論  この授業の目的は、1)心理学・社会福祉学・健康科学の学習に必要な、医学の一般的な基礎知識を身につけ、心身のダイナリズムを理解し、応用できるようになること、2)主な疾病や障害について概説できるようになること、3)心理学・社会福祉学・健康科学において、専門的な支援を行う際の視点を養うこと、の3点である。
生命科学の歴史と倫理 この科目では医療人の倫理観とプロフェッショナリズムについて学習する。 医療や医療従事者に対する社会からの信頼度を高めるためには, 個々の医療者の能力に加え, 患者の利益を最優先する意志とそれに 向けた努力が重要である。 そのために医療者には様々な責務があることを認識する必要がある。 専門職としての能力を持つこと, 患者に対して正直であること, 患者の秘密を守ること, 患者との適切な関係を保持すること, 医療の質を向上させること, 科学的知識を正しく使用すること, 利害の衝突に対処し信頼を維持することなどが医療者の責務としてあげられている。 本講座ではこれらの具体的内容を, 医学の歴史, 遺伝子解析, 精神医療, がん医療, 移植医療, 認知症医療, 生殖医療あるいは医療安全など様々な側面から学習する。
専門教育 学部共通 人間理解 看護学原論 ケアリングおよび看護倫理を基盤とした看護の原点としての有り様を追求しながら,看護の対象論・目的論・方法論の概要を学ぶ。 看護の対象となる人間を多面的・統合的存在として理解する看護学の基盤としての人間観を身につけ,人間科学としての看護学の視座をふまえて,看護実践の基盤をなす看護学の知識体系を理解する。 現代社会における人々の健康ニーズに対応するための,保健医療福祉教育システムにおける専門職としての看護の機能と役割を考察し,将来にわたって看護学を追求することの意義を展望する。
遺伝医学  親子や兄弟姉妹の顔が似るのは遺伝によるものだ、というのは誰もが理解しているように、遺伝とは本来身近なものである。しかし病気の遺伝については理解が進んでおらず、間違った知識に基づいて忌避的な反応を示す人も多い。近年、疾患のメカニズムが分子レベルで解明されるにつれて、診断や治療に遺伝学の知識が要求されることが多くなった。本講義では人間における遺伝学の基礎を学んだ後、代表的な遺伝性疾患の実例を挙げて、病態の理解と、疾患を抱える本人とその家族の心理的側面についても理解を深める。
心理学コース専門 心理学基礎 心理学研究法Ⅰ  科学としての心理学の研究法の考え方を学ぶ。実験法、調査法、観察法などそれぞれの方法に関して、その技法と考え方を学ぶとともに、因果関係と相関関係、独立変数と従属変数、仮説検証的考え方など、さまざまな心理学の研究方法を通して基礎となる考え方について理解できるようにする。
・実験法、独立変数と従属変数、剰余変数、データの信頼性と妥当性、データ収集と整理、グラフの作成、統計分析など
・観察法、調査法、因果関係と相関関係の考え方と研究計画など
心理学研究法Ⅱ  心理学研究法Ⅱでは、臨床心理学における研究法を中心に、心理学研究の手法とその実際について理解を深める。大きくは質的研究と量的研究の両者を扱うが、特に質的な研究においては、事例研究を中心としながらも、問題の立て方と目的に応じて、様々な研究手法とその妥当性を検討し、臨床心理学における研究法の可能性について検討する。これらの内容により、単に研究論文を批判的に読むことができるようになるだけでなく、卒業研究等において独自の問題意識と方法に基づいて研究を行っていくことができるようになることを目指す。
心理統計学Ⅰ  人を表現する一つの方法として、心理学で多用する統計的手法を背景となる理論とともに学ぶ。Ⅰでは確率による考え方、仮説検定の基礎、各種検定から分散分析を習得する。実践では模擬データをもとに統計処理パッケージSPSSやエクセル用の統計処理オプションを使う。
心理統計学Ⅱ  人を表現する一つの方法として、心理学で多用する統計的手法を背景となる理論とともに学ぶ。Ⅱでは独立性や相関、多変量解析の中の因子分析や重回帰分析を習得する。実践では模擬データをもとに統計処理パッケージSPSSやエクセル用の統計処理オプションを使う。
心理学実験演習Ⅰ  実験・調査・観察という心理学の科学的探究の基礎となる方法論を理解することを目的とする。心理学の中で多用される主要な測定方法(リッカート法、SD法など)を実際に作成・体験し、得られたデータから人の心理的分析の方法を学ぶ。また、そのために必要となるコンピューターの操作方法も習得する。さらに、実験法、観察法について、その考え方を理解し、自身の研究目的に合わせて使用するスキルを身につける。受講生が実験・調査・観察に参加し、得た結果を分析して考察し、それをレポートとして提出することを1クールとし、数クールのテーマを実施する。心理学に関する実験・調査・観察に関する方法を修得することを目的とする。日常生活の中で疑問に思っていることを心理学的な研究を行うことによって明らかにすることに関して、その基礎を養う。受講生が実験・調査・観察に参加し、得た結果を分析し、それをレポートとして提出することを1クールとし、数クールのテーマを実施する。
専門教育 心理学コース専門 心理学基礎 心理学実験演習Ⅱ  本授業の目的は心理学の科学研究を行うために基礎となる実験の知識や科学的な考え方を理解し、学生が実際に実験を行って結果をまとめ、考察し、科学論文を書くことのできる基礎を習得することである。心理学の実験計画に必要な独立変数・従属変数・実験デザインの要因・水準を理解し、計画に沿った実験結果のデータ整理、図表作成、分散分析を主とした統計分析を行う。心理学研究に必要なコンピュータソフトのワード、エクセル、統計分析ソフトも使う。
グループアプローチ概論  集団の中で起こる個々人の心の動き、そして、グループダイナミクスや個々のメンバーのコミュニケーションのあり方について学ぶ。講義と共に様々なグループワークを行い、学問的・体験的に学習を進めていく。他者との関わりの中で自分自身について知り、グループ全体やグループの中の個人に関して適切に分析し思考することができる力をつけることが目標である。
臨床心理学 人格心理学概論  日頃誰もが深く考えずに用いている「性格」「人格」について心理学的観点からはどのように考えられてきたのかを学ぶ。日常生活における自己や他者の性格の認知や、特性論と類型論、フロイトやユングに始まる深層心理学的な観点など。
生涯発達心理学概論  この科目では、人の胎児期から高齢期にいたるまでの一生涯を通した心の成長と変化について、心理学の立場から概観していく。人の心の発達において、それぞれの年齢段階がどのような意味を持つのか、そしてそれぞれの段階における心の発達課題は何か、その発達課題を達成することが次の発達段階にどうつながっていくのか、などについて、主に認知的な側面と、対人関係的な側面からの視点を提供し、理解を深めていく。これらの視点から、それぞれの発達段階にある人に対する望ましいかかわりのあり方についても、示唆を提供したい。
発達臨床心理学概論  本講義では、人間が生きるプロセスとしての発達について、主に臨床心理学の領域においてどのように探求され、心理臨床の実践においてどのように理解されているのかについて包括的に論じる。①心理臨床における発達の視点、②こころの発達に関わる諸理論、③各発達段階とその心理的特徴、④各発達段階に特有の心理的問題とその対応、というテーマを中心に据え、実践的な臨床素材を扱うことを通して、知識の習得に留まらない生きた人間の理解を深めることを目指す。
思春期・青年期心理学概論  思春期・青年期心理学概論では、思春期・青年期という発達段階において特に変化の大きい時期に起こる様々な心の変化や、人間関係・適応面で起こりうるトラブルについて、どのように捉え理解していけばよいのかを実際の事例を通して考えていく。そこから思春期を生きる子どもの言動の背景にある心理や、問題行動の裏にあるものについても目を向け、ものごとに対しての一面的ではない捉え方を身につけることを目的とする。
児童生徒人間関係論  教育現場の現役教員を講師に迎え、今現在実際に学校現場で起きている事例を基に、学齢期における子どもを取り巻く人間関係とその対応について学ぶ。現実には、子どものこころの揺れがどのような形で表面化しているのかを知り、人間関係を中心にしながら、家族・パーソナリティ・発達・環境等、多角的な視点を加えた総合的な子ども理解を深めていくことを目指す。想定事例を題材にしたディスカッションを通して、現場での実践力にもつなげたい。
人間関係論  人間が営む関係性の様々なあり方について、臨床心理学的観点から学ぶ。家族関係や友人関係、同性関係と異性関係、二者関係と三者関係、専門家と利用者との関係性など、発達心理学的な視点や精神病理学的な観点も交えながらレクチャーする。
専門教育 心理学コース専門 臨床心理学 不登校の心理臨床  学童期から青年期の不登校やひきこもりについて、心理的な発達の観点から理解し不登校支援の実際を具体的な事例を知ることを通じて学ぶ。また、架空事例をもとにディスカッションを行い、個々の心理発達的な課題の見立てと対応について検討する力を身につける。
・不登校の児童生徒理解の概要と前思春期から思春期前期の事例をもとに授業を行う。
・思春期後期から青年期の不登校・引きこもりを対象に授業を行う。
・幼児期から児童期を対象に授業を行う。
子育て支援の心理臨床  心理臨床における子育て支援の現状を知り、その心理的支援の役割を学ぶ。事例を中心に学び、母子関係、家族関係についての心理臨床的な理解やより効果的な臨床的介入のありかたを理解する。さらに、地域の子育て支援センターや家庭裁判所の講義・観察を通じて専門的支援のあり方を学ぶ。
心理検査実習  心理アセスメントを行う上で重要な情報を提供する心理検査について、主として性格検査・知能検査・発達検査における、いくつかの具体的な心理検査を取り上げて、その施行の方法と結果の解釈の方法を、検査者・被検査者の両方の体験を通して学んでいく。あわせて、心理アセスメントにおける倫理についても学ぶ。また、課題レポートの作成を通して、検査結果の報告の仕方や、被検査者への結果のフィードバックのあり方などについても、理解を深めていく。
心理面接実習Ⅰ  一対一の心理療法、カウンセリングの基本技法を学び、対人援助一般に通用する面接技法、態度を身につける。聴き手のこころの動き、言葉でのやりとり、話すことの意味、受容、共感的理解、信頼関係、などにについての講義と、心理相談の実習(ミニロールプレイ)、体験的なワークを通じて学ぶ。相手の語りを大切に受け取るための態度について理解し、それを自ら実践するための基礎的な力をつけることが目標である。
心理面接実習Ⅱ  子どもの心理カウンセリングの技法について、講義と実習を通して学ぶ。前半は、幼少期から青年期までの発達段階の理解、それぞれの発達段階に応じた心理的課題および様々な症状や問題行動の理解、心理状態の臨床心理学的アセスメントについて学ぶ。後半は、非言語的な媒体を用いた心理療法やプレイセラピーの基本的な考え方と、様々な心理的課題を抱えた子どもに対する対応や、様々な場面での子どもに対する対応について実習形式で学ぶ。
心理療法論  心理療法の臨床場面において、クライエントのどのような心の問題や病理的側面に出会うのか、またそれをセラピストとしてどのように見立て、どのような治療計画をもとに援助を行うのかを学ぶ。さまざまな心理療法の立場について概観し、さまざまなアプローチの可能性について学ぶ。また、心理療法家の基本的態度や、心理療法の導入期、中期、終結期における配慮すべき事柄について、グループ討議を交えながら心理療法について学ぶ。
専門教育 心理学コース専門 臨床心理学 芸術療法論  芸術療法論では 、広く表現することを通した心理療法の手法について学ぶことを目的としている。医療現場などで広く用いられるアセスメントとしての描画法や発達心理学の側面からの表現作品の捉え方、また箱庭療法などのクライエントの表現を扱う専門的な心理療法の基礎について、実際の体験・演習・事例を通して理解を深め、表現することの意義とそれを大切に扱うことの意味、そしてセラピストとして表現を見守る姿勢について学ぶ。
臨床心理事例研究  この授業では、多くの心理臨床の実践事例の詳細な経過に触れる。これにより、心理臨床におけるセラピストの基本的な姿勢や態度がどのように実践されているか、クライエントの見立てや介入の方法がどのようなものであるかを学ぶ。そしてセラピストとクライエントの関係や、クライエントの非言語的なツールによるものも含むさまざまな表現をどのように理解するかについて理解を深め、心理療法のプロセスを理解する力を養う。さらには学校の教員や医療機関との連携の実際などについて、演習とディスカッションを通して学んでいく。
臨床心理文献講読  臨床心理文献講読では、臨床心理学という学問における様々な理論と実践のあり方を理解して、これを地域実践に生かすために、臨床心理学における様々な文献を講読する。これにより、現代の心理臨床の実践の基礎にある考え方や態度を学び、さらには今日の心理臨床における重要なテーマについても理解を深める。さらに、内容について受講生同士で討論を行う。これにより、文献との対話から得られた自身の見解を言語化し、他者に伝えることや、他者の見解を理解することができるようになることを目指す。
臨床心理学研究Ⅰ  心理学研究Ⅰでは、臨床心理学における基礎的な理論やテーマ、概念などについて、担当教員が文献とともにこれを提示する。そして履修者がそれらの文献や関連する文献などを精読して発表し、さらに討論や演習を行う形で、臨床心理学に関する知識や理解を確かなものとしていく。また、これらの学びを通して、履修者がそれぞれ、自分自身が興味を持っている臨床心理学のテーマを発見し、そのテーマに応じて文献を渉猟することができるようになることも目指す。
臨床心理学研究Ⅱ  臨床心理学研究Ⅱにおいては、担当教員の指導の元、臨床心理学研究Ⅰ等で培った興味・関心に基づいて、履修者の探求したいテーマについて、基礎的なものをはじめとした様々な文献を読み、それらを報告する形で発表しながら、そのテーマや概念の臨床心理学における位置づけや、そのテーマや概念がどのような手法で研究されてきたのかなど、研究史を明らかにしていく。これらの作業を通して、卒業研究などで履修者が研究すべきテーマや研究手法について一定の方向性を得ることを目指す。
専門教育 心理学コース専門 実験心理学 知覚心理学  本授業は錯視などの知覚現象の原因と性質およびその生理学的な情報処理を調べた研究の知見をとおして、知覚の情報処理のしくみと心の働きを理解することをねらいとする。具体的には、視覚(物体の形の知覚、明るさ・色の知覚、奥行きの知覚、運動物体の知覚、錯視、知覚の恒常性)、聴覚、嗅覚、味覚、皮膚感覚、他感覚相互作用に関する文献を読んで、理解を深めるディスカッションの時間を設け、アクティブラーニングを行う。
認知心理学  本授業は認知機能の性質およびその生理学的な情報処理を調べた研究の知見をとおして、認知の情報処理のしくみと心の働きを理解することをねらいとする。具体的には、記憶、注意、情動、顔の認知などの認知機能に関する文献を読んで、理解を深めるディスカッションの時間を設け、アクティブラーニングを行う。
学習心理学  人間における学習について、古典的条件付け、オペラント条件付け、社会的学習など従来の考え方を紹介するとともに、プライミングやブロッキングなど、先行経験によって後続の行動や認知が影響を受ける現象についての近年の知見を紹介する。経験によって人間の行動や認知が獲得されること、変容することを、日常生活における事象と関連付けながら理解できるようにする。
家族心理学  家族は複数の人間から成る組織の一つであり、人間関係を捉える上で重要な知見を与えてくれる場であると同時に、生涯発達においても人間が他者と関係性を築いていく基盤となる場でもある。この授業では、組織としての家族、また親子関係やそれを取り巻く現代の環境など、人間の発達を支える場としての家族について学び、家族という組織の特性を理解することを目標とする。さらに、多様化する現代の家族やそれに伴って生じうる問題、支援、地域協力についても扱い、家族支援のための基礎的な知識習得を目指す。
認知発達心理学  人の発達について、個体発生的観点から、科学的に考える視点やその考え方、および現在までに明らかにされている知見を概説する。心の理論、素朴生物学、言語発達、数概念、実行機能などを具体的なテーマとして取り上げ、人間の認知発達に関して、各心理機能の年齢に伴う変化、発達の前駆型、発達連関、発達における生得性と経験的要因・文化的要因について概説する。受講生が自分たちの心が成り立っている基盤について理解し、異なる年齢の人たちに対する興味と理解を深め、心が育っていくメカニズムについて科学的に考察することができるようにする。
社会心理学  身の回りの社会で起こる現象を「心の働き」という観点から理解・考察できるようになることを目的とする。そのため、基礎的な内容を踏まえた上で、各回でトピックを設定し、それに関わる社会心理学的な知見を実例も交えながら概説する。受講を通して、心理学的に現代社会を切り取るための知識と考え方を習得すると同時に、その社会の中に生きる自分自身を見つめ直す機会となることを目指す。
行動変容論  我々の日常における適応過程を行動の変容という視点から考える。生命現象における安定と変化の動的均衡過程は、社会における日常生活においても同様に重要な機構である。従来の学習心理学をはじめとして、それ以外の心理学諸分野の知見を交えて改めて現状を整理し、日常における相互影響過程の有様やその面白さ、むずかしさを考える。
家族心理学基礎研究  家族心理学の基本的な文献を購読し、基礎的な知識を獲得し、学生自身が主体的に興味を持つテーマを見つけることを目指す。それを元に、学外での参与観察、データ収集などを計画し、期末においてその成果を発表する。それにより、学生自身が家族心理学を深く学び、研究を遂行するための足がかりを構築する。
専門教育 心理学コース専門 実験心理学 認知心理学研究  本授業は知覚・認知心理学分野の研究で卒業論文を書く学生が、卒業論文の研究テーマの決定、先行研究の調査、先行研究の論文の読解、実験の計画と実施、データの統計分析や解釈と考察、発表・論文執筆を遂行する。到達目標は卒業論文に含める最初の実験を行い、最初の実験までの研究発表および論文執筆することである。教員や他の受講生の研究についても理解し、専門的なアドバイス、コメント、やディスカッションができるようになることも求める。
学習心理学研究  学習心理学でこれまで何が明らかにされてきたかを、文献の批判的読みを通して理解する。その上で、受講生自身が自らの関心に基づいてテーマを設定し、自ら文献検索をして調べ、発表する。学習心理学的なテーマに関して自己形成的に関心と理解を深めて行けるようにする。
発達心理学研究  発達心理学の領域ではどのような研究がなされているのかを知るためには、文献を検索して、必要なものを読み、さらに同じテーマの別の研究ではどのようなことがなされているのかを調べる必要がある。この授業では、まず、発達心理学でこれまでなされてきた研究を文献の批判的よみを通して理解することを目的とする。その上で、受講生自身が自らの関心に基づいて、さらに自分で文献を探してその文献を読み、発表することを通して、発達心理学的なテーマに関して自己形成的に関心と理解を深めて行けるようにする。
社会心理学研究  身の回りの様々な現象について、社会心理学の視点から考察や検証を試みる。コミュニケーションや他者存在の影響、常識などに関する多くの研究成果を考えあわせながら、受講生各自の興味関心に応じてその背景やしくみを探る。個別学習や発表、討論などを通して、自ら探求しまとめあげるための思考方法や技法を身につける。
家族心理学研究  これまでの講義や演習で得た知識を元に、自らの興味に従い、当該分野の先行研究を検索し、論文内容の購読、発表を実施する。議論や個別学習を通し、自身の興味関心を深めるとともに、科学的かつ実現可能性の高い研究計画を作成し、自主的に研究を計画、遂行するためのスキルを獲得する。
実験心理学研究Ⅰ  本授業は心理現象の原因、心理機能の性質あるいはその生理学的な情報処理、人間の行動の仕組みを検討した学術雑誌の論文を教員あるいは学生が紹介する。論文の研究内容および用いられた研究方法や統計の手法など、科学研究の一連の手続きを学ぶこともねらいとする。また、紹介された論文の不明点を質問したり、研究内容のディスカッションを行い、プレゼンテーションおよび質疑応答の練習も行う。
実験心理学研究Ⅱ  人間の認知や行動について、その基礎的なメカニズムを、自らの視点で検証していく力を身につける授業である。これまで明らかにされていることを検討し、自ら展開を構想し、展開的な実験を実施していけるように支援する。
心理学演習 心理学演習  心理学的な観点から問題を設定し、心理学的な方法を用いてそれに対する答えを出し、発表するという総合的な力量を育成する授業である。これまでの学びで明確化された問題意識と先行研究にあたる文献の批判的検討によって、答えを出すべき問題を明確化する。そして、そのために適切な研究計画を立案する。さらに、必要に応じて予備調査を行いながら、データの収集を行い、得られたデータを分析する。そして、その結果に基づいて、立てられた問題に対する答えを出すべく考察する。以上の各プロセスにおいて、教員や他の受講生とのディスカッションを通して問題点を解決しながら進めていき、プレゼンテーションや質疑応答する力も身につけていく。
専門教育 心理学コース専門 地域実践展開 風土心理研究  風土心理研究では、その土地に暮らす人々のこころに歴史や風土が与える影響について、神話や昔話、歴史や旧跡などの風土に関する資料をもとに学ぶ。その際、人間のこころと風土との関連の強さを示す事例を提示しながら、実際の心理臨床の事例についても学んでいく。また、島根県の風土についてグループごとに分かれて調べ学習を行い、発表を行う。さらに、課外授業として実際に施設見学を行い、講義を受ける等して、体験的に学ぶ。
心理臨床・実践職能論  心理臨床・実践職能論では、心理臨床の専門性という観点を重視し、それぞれの担当教員が、医療・福祉・教育・産業などの様々な領域における自身の心理臨床実践の経験を素材として、事例へのアプローチや様々な領域における多職種間の連携の実際はもとより、その職務のあり方、責任、倫理、関連行政などを含めて包括的に学ぶ。これらの学びを通して、様々な領域にわたる心理臨床の専門性の特殊性および一般性と、社会の中で心理臨床家が果たすべき役割、責任について理解を深める。
地域臨床実践実習Ⅰ  地域臨床実践実習Ⅰでは、観察に重点を置き、どのような関わり合いによってそれぞれの場が成り立っているのかを知ることを目的とする。実習の場は、高齢者や障害のある人たちが地域で暮らすためのコミュニティ作りを行う施設、空間作りに配慮した高齢者のデイサービスの施設、精神科病院、学校現場、保育所、保健センター、児童養護施設、鑑別所などである。事前指導としては、観察における基本的な態度や倫理などの教育を行う。事後指導においては、実習における観察素材について演習形式で発表し合うことを通じて多角的な理解力とコミュニケーション能力を養う。また、人と関わることをめぐる抵抗感などのこころの動きについてシェアリングを行い、内面的な整理を行う。
地域臨床実践実習Ⅱ  地域臨床実践実習Ⅱでは、場にかかわりながら分析的に思考することに重点を置いた実習を行うことを目的とする。地域臨床実践実習Ⅰにおいて実習を行った領域から1つの実習先を選び、各実習先の実情にしたがって定められた形式により、一定の頻度での、一定時間の実習を定期的に、また継続的に行っていく。各実習先の実情に応じて場にかかわりながら、実際に人とかかわることを通じて感じ取ったことに基づいて、相手や場に対する理解を深め、共感的・客観的理解力を養う。なお、実習の指導は地域臨床実践研究Ⅰで事前・実習中・事後にわたり細やかに行っていく。
専門教育 心理学コース専門 地域実践展開 地域臨床実践実習Ⅲ  地域臨床実践実習Ⅲでは、コミュニケーションと介入に重点を置いた実習を行うこと、もしくは複数の領域における地域臨床実践の共通点や相違点を学ぶことを目的とする。実習は、各実習先の実状にしたがって、一定時間の実習を定期的に、また継続的に行っていく。実習先は、(a)地域臨床実践実習Ⅱにおける実習先または、(b)地域臨床実践実習Ⅱにおける実習先とは異なる実習先とする。(a)では、求められるかかわりを読み取り、考えられた介入を実践していく。(b)では、実際に人とかかわることを通じて相手や場に対する理解を深め、共感的・客観的理解力を養い、さらに可能な限り、考えられた介入を具体的に実践していく。
地域臨床実践研究Ⅰ  地域臨床実践研究Ⅰでは、地域臨床実践実習Ⅱにおける実習指導を担当教員のもとで行っていく。事前指導では、実習の意義や目的・全体イメージやスケジュールの把握とともに、実習生の問題意識を明確にする。また、地域の人々とかかわる際の姿勢・態度について再確認し、実習における倫理の徹底を図り責任感を持たせる。実習中指導では、個別指導を含む指導を継続的に実施し、実習で得た体験を臨床心理学的に理解し、実践に生かせることを目指す。事後指導では、関与により得られた理解をクループ討議を通して言語化し共有する。これらを通して具体的な介入のあり方を発想する力を養う。
地域臨床実践研究Ⅱ  地域臨床実践研究Ⅱでは、地域臨床実践実習Ⅲにおける実習指導を担当教員のもとで行っていく。事前指導では、実習の基本的な姿勢・態度について再確認し、実習における倫理の徹底を図り責任感を持たせる。さらに、臨床心理学的な思考を実践に生かすための総合的な指導を行う。実習中指導は、個別指導を継続的に実施し、実習で得た体験を臨床心理学的に理解し実践に生かせることを目指す。実習後の事後指導において、介入の実践がもたらした結果について発表し合い、実践力を高める。複数の実習先を選択した実習生においては、それぞれにおいて求められる臨床的かかわりの共通点と相違点について考察を深める。
応用心理学研究Ⅰ  地域社会における人間を取り巻く環境の分析、およびその環境における人々の行動について観察し分析する。介入法を構想し、その介入の効果について、実証的な心理学の手法を用いて検証していけるよう支援する。受講生自ら地域社会の中で問題を発見し、分析をしていけるように支援する。
応用心理学研究Ⅱ  実証的な心理学の手法を応用し、地域社会における人々がかかえる問題の原因となっている要因を明確にし、仮説を立て、自分の立てた仮説が正しいのかどうかを検証する力を身につける。そして、他の受講生とともに、多様な視点をとって地域社会の人々がかかえる問題にアプローチし、異なる視点を持つ人々が集まって、グループでその問題の解を導くことの有効性について体験し考察する。
専門教育 心理学コース専門 地域実践展開 インターンシップ(就業体験)  夏休みなどの長期休業期間を利用し、興味・関心のある職場(企業・官公庁等)で一定期間(受け入れ先によって異なるが、5日間から1ヶ月程度)受け入れてもらい、就業の実際を疑似体験する。このようなインターンシップ(就業体験)を通じて職業への意識・関心を高め、就職活動や卒業後の社会的・職業的自立に必要な知識・技能・態度の基礎を身につけることを目的とする。実際のインターンシップの前後に、事前指導と事後指導を実施する。
福祉社会コース専門 福祉社会理論 公的扶助論  この授業の目的は、1) 公的扶助の理念・歴史的展開を学び、日本の現行生活保護制度の仕組みと役割を学ぶ、2) 生活保護の最近の動向を通して貧困・低所得者対策の課題を明らかにする、の2点である。科目達成目標は、1) 生活保護の基本的な仕組みについて説明できるようになる、2) 現代の貧困の実態について理解をする、の2点である。公的扶助(生活保護制度)は憲法25条で規定されているように「生存権保障」として国民の生活を保証し、国民が人間らしく生活する上での最後の拠り所として重要な役割を担う。講義では、公的扶助の基本的な理念と役割を日本社会の底辺の現状に触れながら明らかにする。
社会調査  この授業の目的は、社会福祉士として必要な社会調査の基礎知識を学び、量的・質的調査の理論と実際について理解することによって、科学的なエビデンスに基づいて社会福祉実践にアプローチできるように学習することである。具体的には、①社会調査の必要性や意義の理解、②社会調査の限界と倫理的配慮(プライバシー保護など)の理解、③社会調査の分析結果の読み方、④研究仮設の設定と研究方法の選択および関連文献の収集方法、⑤調査票作成過程の理解と練習、⑥量的調査のデーター分析の理解と練習(統計プログラムを活用:記述統計、因子分析、クロス分析、分散分析、重回帰分析など)、⑦質的研究の手順と分析の理解と練習、を主な授業内容とする。 授業は、講義の前半は講義形式で、後半では、小グループで活動を行う。また、理解を深めるために、配布資料として関連する先行文献などを用いる。
地域福祉論Ⅱ  本講義は、地域福祉を推進する技術である間接援助技術について学ぶことを目的とする。間接援助技術の中でも、特にコミュニティワーク(地域援助技術)の理解に重点を置く。さらには、現在、地域福祉の方法として重要視されるコミュニティソーシャルワークについても学ぶ。つまり、伝統的な地域組織化の技術を学びながら、地域で生活する要援護者の支援についても理解することを目指す。
 講義の主な内容および目的は、次の5点である。(1)間接援助技術論の枠組みを理解すること。(2)地域社会の現状と課題について理解すること。(3)コミュニティワークとコミュニティソーシャルワークの実践・理論について理解すること、(4)間接援助技術を活用する専門職について理解すること。(5)ネットワークについて理解すること。
高齢者福祉論  授業の目的は、マクロな視点から少子・高齢社会、高齢者福祉に関する歴史と現状を理解するとともに、ミクロの視点から高齢者の経済・社会・健康状態と支援方法を把握することである。授業内容は、①高齢者の身体的・精神的・社会的特徴、②少子・高齢社会の現状と要因、「負担と給付」のバランス、③高齢者対策の歴史、④高齢者・家族間の経済・社会・健康格差と高齢者施策、支援方法、⑤高齢者・家族の介護問題と介護保険制度の仕組み、同制度の成果と課題、⑥高齢者虐待の実態と防止策、地域包括支援センターの業務、などである。
障害者福祉論  この講義では、障害者基本法や障害者総合支援法をはじめとした日本の障害者福祉に関する各種制度や施策の理解を深めるだけでなく、障害者のおかれている現状と照らし合わせることを通じて、障害の理解および障害者福祉制度の今日的課題について理解する。講義では、障害者福祉の理念、障害者福祉の歴史、障害者基本法、障害者総合支援法等を取り上げる。また、国連障害者権利条約等の国際的な障害者福祉の動きも紹介し、日本と他国の比較等も通じて、日本の障害者福祉の到達点や障害者福祉に携わる専門職の役割等に関する理解も深めていく。
専門教育 福祉社会コース専門 福祉社会理論 児童福祉論  この講義では、児童福祉法や児童虐待防止法をはじめとした児童福祉に関する各種制度や施策についての理解を深めるだけでなく、児童の置かれた今日的状況と児童福祉問題を明らかにし、児童の成長・発達の特性を踏まえ、児童福祉の理念と意義について理解する。
 具体的には、国内外の児童福祉の歴史、子どもの権利条約と子どもの人権、児童福祉法や児童虐待防止法をはじめとした児童福祉の制度、および少子化に伴う子育て支援の現状や必要性を理解する。また、要保護児童それぞれに対する相談援助活動、児童福祉および関連領域の専門職の役割や連携のあり方等を理解する。
社会保障論Ⅰ  わが国の社会保障法に関する基本構造や基礎概念について理解し、社会保障制度について体系的に理解することを目標とする。法律条文の解説だけでなく、最新の裁判例、行政解釈を取り上げて、現代社会における法の生きた姿を身近に理解できるように授業を行う。
社会保障論Ⅱ  本講義では、社会保障、福祉、経済の関連を明らかにしつつ、社会保障・福祉の政策課題を経済学・財政学の視点から考察することを目指す。社会保障・福祉の充実=心の安心保障のあり方、21世紀福祉社会の建設について考え、人口減少問題、若年者労働・非正規雇用問題 (保険料納付との関連)、社会的排除という概念から、 日本経済、社会保障・福祉への影響を講義する。
介護概論  授業の目的は、①介護を必要とする高齢者や障害者に関する基本的知識、②介護職の倫理、③介護の基礎と方法、④保健・医療・福祉機関・専門職との連携と共同、について理解することである。授業内容は、①介護の利用者・家族の生活・介護実態、②介護の定義と理念、③介護職の倫理、④介護の過程と展開技法、⑤介護の原則と方法、⑥認知症ケアと終末期ケア、⑦他職種との連携・共同、についての講義である。⑤では、食事、清潔、衣類着脱、移動などの介護実技の実習も取り入れる。
福祉行財政・福祉計画論  本講義は、福祉に関する行財政と福祉計画について学ぶことを目的とする。講義の主な内容および目的は次の5点である。(1)福祉行政の実際と社会福祉推進体制について理解する。(2)社会福祉の財政について理解する。(3)福祉行財政の歴史的展開について理解する。(4)福祉計画の実際について理解する。(5)福祉計画の意義と方法について学ぶ。特に、住民参加を取り入れた計画策定方法、および行政の推進体制について理解する。
社会福祉運営管理論  この授業では、福祉サービスの組織と経営に関する理論とその方法について講義する。講義は1)福祉サービスにおける組織と経営、2)福祉サービスにかかわる組織や団体、3)福祉サービスの組織と基礎理論、4)福祉サービスの管理運営の方法の理解をそれぞれ深めることを目的とする。
 講義では、研究や障害者の就労支援の場および第三者委員として苦情解決に携わった経験等で得られた事例を基に作成した教材を用いながら、社会福祉法人や特定非営利活動法人などの組織・団体の役割を説明するとともに、福祉サービス提供組織として望ましい支援体制や人材養成および苦情解決の在り方についても講義する。
専門教育 福祉社会コース専門 福祉社会理論 保健医療サービス論  授業の目的は、保健医療制度の基礎、病院などで働く医療ソーシャルワーカーの歴史、業務特性について理解することである。主な授業内容は、次の3つについての講義である。①保健医療制度編:医療関係者とチーム医療、医療施設、保健所と保健センター、医療保険制度と診療報酬制度、②医療ソーシャルワーカー基礎編:日米英の歴史、職能団体と資格、③医療ソーシャルワーカー実践編:多職種連携、医療ソーシャルワーカー業務指針、経済的問題への援助、心理・社会的問題への援助、退院援助、地域活動・地域連携。講義では、患者、医師・看護師、医療ソーシャルワーカーなどの「生の声」を紹介し、社会福祉とは異なる保健医療の特徴を掴めるようにする。
就労支援と更生保護  この講義は前半で「就労支援サービス」に関する講義を、後半で「更生保護制度」に関する講義を展開している。
 「就労支援サービス」:雇用・就労の動向と労働施策の概要、就労支援制度の概要、就労支援に係る組織、団体の役割と実際、就労支援に係る専門職の役割と実際、就労支援分野の連携と実際について理解することを目的としている。研究や就労支援の場で得られた実践の事例等を基に作成した教材を用いながら、各種制度・施策が福祉の現場においてどのように支援に反映されているか、および就労支援に携わる福祉専門職の役割について理解を深める。
 「更生保護制度」:更生保護制度の概要、更生保護制度の担い手、更生保護制度における関係機関・団体との連携、医療観察制度の概要、更生保護における近年の動向と課題について理解することを目的としている。
権利擁護と成年後見  本講義は、社会福祉士が身につけておくべき法律的知識と、権利擁護の制度・サービスについて学ぶことを目的としている。法律については、特に憲法、民法、行政法について理解する。権利擁護については、成年後見制度の概要・実際について学ぶ。実際の場面では、対象者(認知症の人、アルコール依存症の人、消費者被害者など)についても理解する。また、権利擁護に関わる諸機関(家庭裁判所、法務局など)と専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士など)についても学ぶ。
精神医学Ⅰ  精神医学、精神医療の歴史を知り、精神疾患とその治療について理解する。代表的な精神疾患について、成因、症状、診断法、治療法、経過、本人や家族への支援といった観点から、知識の定着を目指す。
精神医学Ⅱ  精神科病院等における専門治療の内容及び特性について、精神保健福祉士が、精神科チーム医療の一員として関わる際に担うべき役割、精神医療・福祉との連携の重要性とその際に担うべき役割について習得する。
精神保健学Ⅰ  この授業では、精神の健康の維持と精神の疾病の予防について学ぶ。精神の健康についての基本的考え方、ライフサイクルにおける精神保健の知識を身につけ、精神保健の諸課題と、精神保健の実際及び精神保健福祉士の役割について学ぶ。特に家族、学校教育、勤労者、現代社会の課題とアプローチ方法を習得する。
専門教育 福祉社会コース専門 福祉社会理論 精神保健学Ⅱ  この授業では、精神の健康の維持と精神の疾病の予防について学ぶ。
 精神保健を維持、増進するために機能している、地域精神保健に関する諸活動と専門機関や関係職種と国、都道府県、市町村、団体等の役割及び連携について習得する。また、日本における精神保健に関する偏見・差別等の課題と国際連合の精神保健活動や他の国々における精神保健の現状と対策について学ぶ。
 精神障害のある人が、地域で安心して自立した生活を送る(ウェルビーイング)を促進するために、精神保健福祉士が担うべき役割について学習する。
精神保健福祉制度論Ⅰ 専門職としての精神保健福祉士が、精神障害者の生活支援に取り組むにあたり、知識としての精神保健福祉に関する制度とサービスについて学ぶ。精神保健福祉の制度やサービスを、精神保健福祉士が活用して支援できるように、体系的な理解を促す。主な内容として精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)成立の経緯と同法の意義および内容、精神障害者の福祉制度の概要と福祉サービス、精神障害者に関連する社会保障制度の概要について学ぶ。 
精神保健福祉制度論Ⅱ  専門職としての精神保健福祉士が、精神障害者の生活支援に取り組むにあたり、知識としての精神保健福祉に関する制度とサービスについて学ぶ。精神保健福祉の制度やサービスを、精神保健福祉士が活用して支援できるように、体系的な理解を促す。主な内容として、精神障害者に関連する社会保障制度について学ぶ。また、精神保健福祉と関連する更生保護制度や医療観察法などについても学習する。
精神保健福祉論  精神障害者に対する生活支援と相談支援の展開について、環境との相互作用を踏まえながら学ぶ。その主な内容は、精神障害者の地域での自立と社会参加を促進し支援するために必要な、相談支援、居住支援、就労支援、権利擁護などである。居住支援に関する制度・施策と相談援助活動について学び、職業リハビリテーションの概念及び精神障害者の就労支援関にする制度・施策や精神保健福祉士の視点や相談援助活動について理解する。また、これらの包括的な地域生活支援のためのサポートシステムについて学ぶ。
東アジア福祉社会論  この授業の目的は、東アジア(日本、韓国、中国)の社会福祉制度及び実践の現状を比較し、類似点と相違点を理解することである。具体的には、①東アジアの福祉問題:韓国、中国の社会福祉問題の理解と日本の現状との比較、②異文化と東アジア福祉研究の必要性についての理解、③韓国、中国の社会保障・福祉制度についての全般的な理解、④東アジア各国の貧困問題の現状と課題、⑤東アジアの各国の高齢者福祉(認知症高齢者へのケアに関する対策を中心に)の現状と課題、⑥東アジア各国の児童福祉の現状と課題、⑦東アジア各国の障害者福祉の現状と課題、⑧東アジアの福祉社会の今後の課題とソーシャルワーカーとしての役割などについて、学習する。授業の前半では、具体的な事例研究と先行研究に基づいて、配布資料を用いた講義形式で、また後半では、討論を中心に授業を行う。
福祉社会理論研究  現代日本において人々の抱える生活問題・福祉問題は多様であるだけでなく、その広がりと深さは、戦後の混乱期を除くと、かつてないほどになっている。この授業では、それらの問題が発生・拡大する原因やその対応策を、最新の福祉社会論、社会福祉学の知見をもとに講義し、生活問題・福祉問題の緩和・解決の方策を検討する。
専門教育 福祉社会コース専門 福祉社会理論 専門演習  社会福祉学のうち特定の分野を選び、その分野の専門文献の精読とそれに基づく発表・討論を通じて、論理的思考力と表現能力の向上をめざす。授業の後半では、卒業研究を視野において文献を精選し、専門的な研究の視点を深めながら、卒業論文のテーマのおおよその方向性を確定する。
福祉社会文化論 福祉人間論  狭義の社会福祉学ではなく、福祉の制度や実践のあり方を相対化して捉えなおす広義の人間学的視点から、現代日本社会における福祉に関わる諸問題を、広く社会や文化、思想、歴史との関連で考察する。
 本講義ではまず、帝国主義から冷戦を通じてグローバリゼーションへと至る、近代以降の世界ならびに日本の歴史的展開の概要を、福祉問題との関連で概説する。その上で、日本における身体障害者の自立生活運動の思想とその宗教性、ならびに精神障害者のセルフヘルプの取り組みを、当事者たちの視点に即した形で紹介・検討する。この作業を通じて、福祉の場面における自立と連帯のあり方、さらには宗教のあり方を、人間の問題として捉えなおしていく。最後に、この作業の応用問題として、従来、身体障害者や精神障害者がとりわけ排除の対象とされてきた優生思想の歴史と現状を解説し、その意味を考察する。
福祉人間論研究  狭義の社会福祉学ではなく、福祉の制度や実践のあり方を相対化して捉えなおす広義の人間学的視点から、現代日本社会における福祉に関わる諸問題を、広く社会や文化、思想、歴史との関連で考察する。
 本講義では、おもに社会学の視点を援用し、まず、近代社会における情報化・消費化社会の成立と、そのなかで生起した新たな人間疎外の構造を福祉の問題との関連で俯瞰する。その上で、現代の人間について考えるために不可欠な視点としてフェミニズムの議論を取り上げ、これを前提として、障害者や高齢者のケアの問題、児童虐待の問題等について社会的文脈に位置づけて分析を加える。この作業を通じて、さまざまな社会的弱者を包摂する思想的な枠組みを考察する。
福祉経済論Ⅰ  わが国ほどハイスピードの少子・高齢化を経験した国はない。これに伴って、年金財政、医療・介護財政の持続可能性が懸念され、世代間の不公平が広がっている。少子・高齢化に伴う人口減少社会では、よほどのことがない限り、経済成長率は低迷をすることになる。日本社会は、これからの少子・高齢化に伴う諸問題にどのように対処し、乗り越えていくべきであろうか。社会保障・社会福祉の分野で日本社会が直面する大きな課題を、経済学のアプローチを適用することによって考える。この講義では、日本の社会保障の全体像を提示した上で、公的年金制度、医療保険制度、雇用保険、生活保護制度等について概説する。
福祉経済論Ⅱ  わが国ほどハイスピードの少子・高齢化を経験した国はない。これに伴って、年金財政、医療・介護財政の持続可能性が懸念され、世代間の不公平が広がっている。少子・高齢化に伴う人口減少社会では、よほどのことがない限り、経済成長率は低迷をすることになる。日本社会は、これからの少子・高齢化に伴う諸問題にどのように対処し、乗り越えていくべきであろうか。社会保障・社会福祉の分野で日本社会が直面する大きな課題を、経済学のアプローチを適用することによって考える。この講義では、少子化対策、介護保険制度等について概説し、さらに今後の日本における社会保障改革の方向性を論ずる。
福祉人類学Ⅰ  福祉人類学は、福祉やケアに関わる諸問題を文化人類学の視点から研究する新たな学問領域である。この授業では、とくに産婦人科学の誕生と母乳中心的育児の歴史、臓器移植とアイデンティティの問題、生殖補助医療と養子縁組による家族形成といったトピックを、日本や世界の諸文化の事例を通じて包括的に把握することを目的とする。そこから現代の社会福祉が抱える課題に対し新たな視点を導入することで、いかにして心身のケアが可能であるのかを模索する。
専門教育 福祉社会コース専門 福祉社会文化論 福祉人類学Ⅱ  福祉人類学は、福祉やケアに関わる諸問題を文化人類学の視点から研究する新たな学問領域である。この授業では、とくに社会的包摂と社会的排除、障害者・高齢者へのまなざし、葬送儀礼の変化、居住環境とケアといったトピックを、日本の中山間地域、北欧、太平洋諸島地域といった世界の諸文化の事例を踏まえて、多角的かつ横断的に考察する。そうした世界の具体例を詳細に検討することで、生・老・病・死・性・つながりといった現代の福祉に直接関係する問題系をオリジナルな観点から再検討することを目的とする。
共生社会史  共同性の歴史を通して、西洋文明に関する理解を深めるとともに、近代という時代の歴史的特徴についても学ぶ。とくに、フランス社会史のソシアビリテ(社会的結合関係)概念を参考にしながら、ヨーロッパの人びとが「国民」共同体以外にもさまざまな共同性や関係性、差別のなかに生きてきた歴史をたどる。この歴史を通して、現代世界、日本社会、そして私たち自身の共同性を相対化する視点を学ぶことを目的としている。
文化共生論  日本文化と福祉社会の基層を形成したと考えられる「王朝時代」において、「宮都」中心の現実的世界認識と「異界」「境界」に依拠する空想的世界観との相関性に注目し、老い、死、不老長寿の社会的意味を再検討する。さらに、『竹取物語』『うつほ物語』『落窪物語』『とりかへばや物語』『堤中納言物語』(「虫めづる姫君」)などの王朝文学、『大鏡』『増鏡』などの歴史文学、『浦島太郎』『一寸法師』などの中世小説の中に福祉社会のあり方を見いだす。
現代社会論  本講義では、「正常/異常」という区分をめぐる社会的事象を取り上げて、社会学的な考察を加えていく。
 具体的に取り上げるのは、病気・障がい・老い・死・犯罪といった、福祉や教育にも関わりの深い主題である。「正常/異常」に関係したこれらの主題は、「当事者/非当事者」という枠組みの下で、治癒や矯正を是とする社会的規範をもって語られがちである。その構造自体を考察することで、現代社会の成り立ちについて理解を深めるとともに、その中で見過ごされがちな人間の生の多様性に気づくことが本講義の狙いである。
福祉社会臨床 社会福祉援助技術論Ⅱ  授業の目的は、「総合的かつ包括的な相談援助」の基礎を理解することである。授業内容は、①「総合的かつ包括的な相談援助」の動向と背景、②「総合的かつ包括的な相談援助」の理論的基盤であるジェネラリスト・ソーシャルワークの基本枠組み、③ソーシャルワーク専門職の概念と範囲、④「総合的かつ包括的な相談援助」における専門的機能、などについての講義である。一部、小グループによる討論、事例検討を取り入れる。
ソーシャルワーク論Ⅰ  授業の目的は、ソーシャルワークの定義と構成要素、ジェネラリスト・ソーシャルワークの基礎理論、ソーシャルワークの実践モデルとアプローチについて理解することである。授業内容は、①IFSWのソーシャルワークの定義とソーシャルワークの価値・知識・方法と技能、②ソーシャルワークの構造と機能、③人と環境の相互作用、③ソーシャルワークにおける援助関係、④ソーシャルワークの展開過程、⑤ソーシャルワークの実践モデルとアプローチ、などについての講義である。一部、小グループによる討論、事例検討を取り入れる。
ソーシャルワーク論Ⅱ  この講義では、前期開講科目である「障害者福祉論」と連動して、学生の障害に対する理解を深めるとともに、ソーシャルワークに対する理解、ソーシャルワークで用いる援助技術に対する理解を深めることを目的としている。とくにこの講義では、発達障害者と精神障害者の事例を用いてエコロジカル・ソーシャルワークの理論を解説している。障害者福祉の事例等を通して、相談援助、施設内支援という二つの視点で上記理論がどのように活用されているのかを確認する。またこれら事例等を通じて施設や組織内で果たすべき福祉専門職の役割を理解する。
専門教育 福祉社会コース専門 福祉社会臨床 ソーシャルワーク論Ⅲ  この授業は、福祉の相談援助職に必要とされるソーシャルワークの技術を身に付けることを目的としている。この授業では、1)ケースカンファレンスの技法、2)相談援助における個人情報の保護、3)相談援助における情報通信技術(ICT)の活用、4)事例研究・事例分析、5)相談援助の実際の5点を柱とし、講義や研究や実践等で用いた事例を基に作成した教材を使って、グループディスカッションを取り入れながら、それらの技術の習得や活用方法の習得を目指す。
ソーシャルワーク論Ⅳ  授業の目的は、ケアマネジメント、グループワーク、ネットワーキング、そしてスーパビジョンの基礎について理解することである。授業内容は、①ケアマネジメントの背景と意義、モデル、②介護保険におけるケアマネジメントと地域包括支援センターにおける包括的・継続的ケアマネジメント、③グループワークの意義とモデル、④グループワークにおける相互作用とファシリテーション、⑤コーディネーションとネットワーク、⑥スーパービジョンとコンサルテーション、などについての講義である。一部、小グループによる討論、事例検討を取り入れる。
社会福祉援助技術演習Ⅱ  この授業では、主に、島根県内で注目すべき福祉実践を取りあげ、援助専門職として必要とされる知識や技能について事例から学ぶ。事例研究では、自治体や専門機関でフォーマル(公式)な制度に基づき提供される支援だけではなく、地域住民、ボランティア等、公的制度に基づかないインフォーマル(非公式)支援についても学び、それらの支援をどのように組み合わせるかについても多角的に検討する。授業の後半では、高齢者に対する相談援助の場面を中心にロールプレイ等を通じた面接技術の習得を目指す。
社会福祉援助技術演習Ⅲ  この授業では、福祉専門職に求められる社会福祉援助に必要な知識や支援技術の習得を目指している。この授業では主に障害者虐待および児童虐待の支援困難事例を教材として用いる。ロールプレイ等を通じた面接技術の習得を目指すだけでなく、各事例を多角的に分析し、課題把握を行うためのアセスメント方法、把握した課題を中心とした支援プランの作成方法の習得を目指す。また社会資源等の活用も含めたネットワークの構築をグループワークや個別課題を通じて検討する。
社会福祉援助技術演習Ⅳ  本演習の目的は、主に次の3点である。1)グループを媒介とした援助に必要な知識と技能について理解する、2)体験学習を通じて知識と技能を具体的に使い実践技能に関する省察を深める、3)グループワークの知識と技能を地域における実践に活用する。科目の達成目標は、①グループを対象にした相談援助の実際について説明できる、②グループのプロセスと相互作用の重要性をふまえた視点を身に付ける、③グループの目的遂行を促進するための働きかけがわかる、④民主的なグループ運営に関与することができる、の4点である。
社会福祉援助技術演習Ⅴ  授業の目的は、「地域自立生活支援」を実現するための知識と方法を、ロールプレイングなどを通して習得することである。主な授業内容は、次の3つである。
①利用者のニーズ把握とケアプラン作成:ニーズ把握の方法とケアプランの作成方法
②ケアプランに基づくネットワークづくりとサービス提供:ネットワークづくり、インフォーマルサービス調査とサービス提供
③福祉サービス利用者の環境整備:権利擁護の実際、利用者の個別課題から地域課題抽出への展開、サービス開発と評価、地域福祉計画の立案
専門教育 福祉社会コース専門 福祉社会臨床 精神科ソーシャルワーク論  精神保健福祉士の役割と意義について理解を深める。具体的には、精神障害のある方への支援において精神保健福祉士はどのような役割を果たし、またどのようにソーシャルワークを行うのかを学ぶことが、本科目の主な目的である。
 また、ソーシャルワーカーの価値と倫理を理解し、ソーシャルワークにおける精神障害者の権利擁護についても理解を深める。
 本科目は、「社会福祉援助技術論」(「精神保健福祉相談援助の基盤」(基礎))の教育内容を基礎として展開する。
精神科リハビリテーション学Ⅰ  精神医療の特性(精神医療の歴史・動向や精神科病院の特性の理解を含む)と、精神障害者に対する支援の基本的考え方についての意識を高め、精神科リハビリテーションの概念と構成及びチーム医療の一員としての精神保健福祉士の役割について習得する。
精神科リハビリテーションのプロセスと精神保健福祉士が行うリハビリテーション(精神科専門療法を含む)の知識と技術及び活用の方法について理解する。
精神科リハビリテーション学Ⅱ  この授業では、「精神科リハビリテーション学Ⅰ」を踏まえ、精神障害者支援の基礎を身につける。
 精神保健医療福祉領域における支援対象者(精神障害の概念・精神障害者の定義と特性等)を理解し、精神障害者の人権保護に関する基本的な知識を身につけた上で、精神障害者を対象とした相談援助技術(個別援助、集団援助の過程と、相談援助に係る関連援助や精神障害者と家族の調整及び家族支援を含む)の展開について、精神障害者支援の視点から理解する。
 精神障害者の地域移行支援及び医療機関と地域の連携に関する基本的な考え方を身に着け、支援体制の実際を習得する。
精神科リハビリテーション学Ⅲ  精神保健福祉士は、保健・医療・福祉の多様な現場で精神障害者のリハビリテーションの担い手として期待されている。この授業では、精神障害者の地域移行及び医療機関と地域の連携に関する基本的な考え方と支援体制の実際について理解を深め、具体的なリハビリテーションの場でどのような取り組みがなされているのか、専門的な精神障害者のリハビリテーションの展開と多職種チームにおける精神保健福祉士の役割について理解する。授業計画としては、精神障害者リハビリテーションの概念、精神専門療法、家族教育プログラム(心理教育)、精神科デイケア、アウトリーチ、チーム医療、地域移行支援の対象・体制、精神保健福祉士の役割と多職種との連携等である。
精神科リハビリテーション学Ⅳ  この授業では、「精神科リハビリテーション学Ⅲ」を踏まえ、地域を基盤とした精神障害者に対する地域リハビリテーションの基本的な考え方について理解する。具体的には、精神障害者のケアマネジメント、コミュニティワークの実際、地域ネットワーク活動、アウトリーチ活動、セルフヘルプグループ及び家族会活動等について学ぶ。さらに、精神保健福祉士が地域のなかでどのように地域生活を支援する包括的な活動を展開しているのか、また地域精神保健福祉活動の意義についても理解を深める。
精神保健福祉援助技術演習Ⅰ  本授業は、精神保健福祉実習前の段階である。相談援助に係る基礎的な知識と技術に関する具体的な理解と、地域福祉の基盤整備と開発について実践的に習得するとともに、専門的援助技術として概念化し理論化し体系立てていくことができる能力を涵養する。その際、ケアマネジメントの事例や、社会資源の活用やネットワーキングの事例、チームアプローチの事例など具体的な事例を用いながら、アセスメントやプランニングなどの支援場面を実践的に学ぶ。
専門教育 福祉社会コース専門 福祉社会臨床 精神保健福祉援助技術演習Ⅱ  精神保健福祉援助技術演習Ⅰを踏まえ、総合的かつ包括的な相談援助、医療と協働・連携する相談援助に係る具体的な相談援助事例を体系的にとりあげる。具体的には、精神障害者の生活や生活上の困難について把握し、精神保健福祉士に求められる相談援助に係る知識と技術を、実践的に習得するとともに、専門的援助技術として概念化し理論化し体系立てていくことができる能力を涵養する。
スクールソーシャルワーク論 我が国のスクールソーシャルワークについて、理論と実践の双方を踏まえた包括的な学びを進める。具体的には、①我が国におけるスクールソーシャルワークの現状と課題を理解する、②スクールソーシャルワークに特徴的な援助手法を理解する、③学齢期児童生徒の抱える社会福祉問題と子どもを取り巻く環境について理解する。
地域実践展開 地域連携論  本授業の目的は、ソーシャルワーカーが地域で支援を行う際に求められる様々な職種、機関との連携の歴史、現状と課題について理解することである。加えて、地域連携の重要な構成要素である多職種連携の意義とモデル、方法と効果の理解である。主な講義内容は、①地域連携の意義と目的、②医療・福祉・介護政策の変遷と地域連携の展開、③地域連携の構築とソーシャルワーカーの役割、④地域連携の評価方法と評価事例、⑤医療・介護などの専門職の対象者把握と介入の特徴、⑥多職種チームのモデル、⑦多職種チームにおける合意形成と支援、⑧医療・教育・司法などの分野における多職種連携の実際、である。⑤~⑥では講義だけでなく、小グループに分かれロールプレイイングを行う。⑦では多職種の外部講師による事例紹介と、それを素材とした討論を行う。⑧では、学生自身が地域の福祉現場に赴き、多職種連携の実際に触れる。
社会福祉援助技術論Ⅰ  授業の目的は、生活問題・福祉問題を抱える人々が、地域社会において「当たり前の生活」ができるよう支援するための方法・技術であるソーシャルワークの意義、歴史、理念と価値を理解することである。授業内容は、①ソーシャルワーク、ソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)の基本概念、役割と意義、②米国、日本におけるソーシャルワークの生成・発展と統合の歴史、③ソーシャルワーク実践における理念と価値:利用者の尊厳と自己決定、ノーマライゼーションと地域生活支援、社会的排除と社会的包摂、などについての講義である。一部、小グループによる討論、事例検討を取り入れる。
社会福祉援助技術演習Ⅰ  社会福祉の実践で必要とされる 1)対人コミュニケーションの技能について学び、2)実践の礎となる価値と倫理に関する理解を深める。演習を通して自分の考えを相対化して省察的な実践家に近づく取り組みを行う。科目の達成目標は次の3点である。①対人援助に必要とされる感受性や基本的なコミュニケーション技法について理解する、② 自分の生活史をふりかえり、自己の中で形成された価値観を認識する、③ 社会福祉実践の倫理綱領を理解する。
社会福祉実習指導Ⅰ  この授業は「社会福祉実習Ⅰ」と連動した、1)事前学習、2)巡回指導、3)事後学習の3つで構成されている。
 1)事前学習では、実習の意義および実習先に関する基礎知識の習得、福祉専門職の価値・倫理に対する理解、実習計画書の作成、実習日誌の記載方法の習得等をめざす。2)巡回指導では、教員が実習先に出向き、実習中に明らかになった課題などについて指導する。3)事後学習では、実習の反省をするとともに、実習報告会を開催し、実習の成果、新しい学習課題を明確にする。最後に、それらを整理し、実習報告書を作成する。
専門教育 福祉社会コース専門 地域実践展開 社会福祉実習指導Ⅱ  この授業は「社会福祉実習Ⅱ」と連動した、1)事前学習、2)巡回指導、3)事後学習の3つで構成されている。
 1)事前学習では、実習の意義および実習先に関する基礎知識の習得、福祉専門職の価値・倫理に対する理解、実習計画書の作成、実習日誌の記載方法の習得等をめざす。2)巡回指導では、教員が実習先に出向き、実習中に明らかになった課題などについて指導する。3)事後学習では、実習の反省をするとともに、実習報告会を開催し、実習の成果、新しい学習課題を明確にする。最後に、それらを整理し、実習報告書を作成する。
社会福祉実習指導Ⅲ  この授業は「社会福祉実習Ⅲ」と連動した、1)事前学習、2)巡回指導、3)事後学習の3つで構成されている。
 1)事前学習では、実習の意義および実習先に関する基礎知識の習得、福祉専門職の価値・倫理に対する理解、実習計画書の作成、実習日誌の記載方法の習得等をめざす。2)巡回指導では、教員が実習先に出向き、実習中に明らかになった課題などについて指導する。3)事後学習では、実習の反省をするとともに、実習報告会を開催し、実習の成果、新しい学習課題を明確にする。最後に、それらを整理し、実習報告書を作成する。
社会福祉実習Ⅰ  授業の目的は、実習を通して、講義・演習で学んだ社会福祉理論、知識・技術、倫理などを検証し、実践的技術を習得することである。
 授業の方法は、福祉施設・機関への配属実習である。期間は15日間である。実習では、配属先の職場、専門職業務、ソーシャルワーク技術、の3つについて学ぶ。
 進め方としては、現場の実習指導者が作成するプログラムに沿って実習を行う。これは、実習生の実習計画書も勘案して作成される。実習中は現場職員から指導を受ける。また、毎日実習日誌を書き、実習指導者に提出する。教員は、実習中に巡回を行い、学習進度を確認したり、各種相談に応じたりする。
社会福祉実習Ⅱ  授業の目的は、実習を通して、講義・演習で学んだ社会福祉理論、知識・技術、倫理などを検証し、実践的技術を習得することである。
 授業の方法は、福祉施設・機関への配属実習である。期間は12日間である。実習では、配属先の職場、専門職業務、ソーシャルワーク技術、の3つについて学ぶ。
 進め方としては、現場の実習指導者が作成するプログラムに沿って実習を行う。これは、実習生の実習計画書も勘案して作成される。実習中は現場職員から指導を受ける。また、毎日実習日誌を書き、実習指導者に提出する。教員は、実習中に巡回を行い、学習進度を確認したり、各種相談に応じたりする。
社会福祉実習Ⅲ  授業の目的は、実習を通して、講義・演習で学んだ社会福祉理論、知識・技術、倫理などを検証し、実践的技術を習得することである。
 授業の方法は、福祉施設・機関への配属実習である。期間は23日間である。実習では、配属先の職場、専門職業務、ソーシャルワーク技術、の3つについて学ぶ。
 進め方としては、現場の実習指導者が作成するプログラムに沿って実習を行う。これは、実習生の実習計画書も勘案して作成される。実習中は現場職員から指導を受ける。また、毎日実習日誌を書き、実習指導者に提出する。教員は、実習中に巡回を行い、学習進度を確認したり、各種相談に応じたりする。
専門教育 福祉社会コース専門 地域実践展開 精神保健福祉実習指導  精神科医療機関とそれに関連した機関で実習を行うために事前指導、実習指導、事後指導を行う。また、実習期間での巡回指導では、実習生への指導とともに、実習指導者と実習指導に関する協議などを行う。各機関の実習終了後に事例研究、発表、ディスカッションを行い、利用者・環境・精神保健福祉士の専門性の深化を図る。
精神保健福祉実習  精神科医療機関と障害福祉サービス事業を行う施設での実習を通して、精神保健福祉援助と障害者などの相談援助に関わる専門的知識と技術について理解し実践的な技術などを体得する。また、精神障害者のおかれている現状を理解し、生活実態や生活上の課題を把握する。
 精神科医療機関では、入院・退院、日常生活などに関する相談援助や院内・関係機関との連携などについて習得する。障害福祉サービス事業を行う施設などでは、総合的かつ包括的な地域生活支援と関連分野の専門職との連携の在り方及びその具体的内容を実践的に理解する。
インターンシップ(就業体験)  夏休みなどの長期休業期間を利用し、興味・関心のある職場(企業・官公庁等)で一定期間(受け入れ先によって異なるが、5日間から1ヶ月程度)受け入れてもらい、就業の実際を疑似体験する。このようなインターンシップ(就業体験)を通じて職業への意識・関心を高め、就職活動や卒業後の社会的・職業的自立に必要な知識・技能・態度の基礎を身につけることを目的とする。実際のインターンシップの前後に、事前指導と事後指導を実施する。
身体活動・健康科学コース専門 健康身体科学 解剖学Ⅰ  本講義では骨格構造の名称、位置関係を起点として人体を構成する器官の位置関係を立体的に把握するとともに、その役割について概略を理解する。つぎに人体の構造(神経系、筋、消化器系、泌尿器・生殖器系、呼吸器系、循環器系、内分泌系、感覚器系)の名称、形態、位置関係、特性を知るとともに、各組織の機能や生体における役割やライフステージにおける変化について学ぶ。
解剖学Ⅱ  本講義は人体構造のマクロからミクロに視点を移し、各器官・臓器の細胞形態や細胞内構造について光学顕微鏡レベルで学び、さらには電子顕微鏡レベルに至るところまで理解を深める。また各器官・臓器の特性に関わる分子がどのように細胞内で働き制御されているかについて、生化学的な観点から系統的に学ぶ。これにより、正常な人体における構造と機能との関係、各器官系間の構造的・機能的関連と制御の理解へとつなげる。
バイオメカニクス  バイオメカニクスは、日常生活から体育授業やスポーツ活動にいたる運動、ヒト、用具・施設のふるまいを力学的な観点から理解する学問である。運動の記述、運動の原因の説明、運動の改善や最適化、運動の創造などを中心に学び、運動者の動作を適切に評価できるようにする。本講義では、運動技術の理解力、分析力、想像力を養うことを目的とする。
バイオメカニクス演習  本講義では、バイオメカニクスの授業で身につけた基礎知識をさらに発展させ、バイオメカニクス的な手法を実践的に学ぶ。具体的には、対象となる運動や用具を高速度VTRカメラを用いて、2次元あるいは3次元動作分析を行い、キネマティクス的およびキネティクス的に検討する。また、得られたバイオメカニクス的データから読み取れる客観的な指標を適切に評価できるようになることを目的とする。
専門教育 身体活動・健康科学コース専門 健康身体科学 バイオメカニクス実験  本講義では、バイオメカニクスやバイオメカニクス演習の授業で身につけた基礎的なバイオメカニクス的知識や実践的なバイオメカニクス的手法をさらに発展させる。具体的には、研究計画の立案、文献研究の調査、実験の遂行、データの算出および分析、プレゼン発表に至る一連の研究過程を学び、バイオメカニクス的研究法の理解を深めることを目的とする。
生理学  生理学は生体機能の特性を分子レベルから細胞レベルや個体レベルに至るまで、物理的、科学的側面から理解する学問である。生命を維持するため機構がどのように発現し、制御されているかを体系的に理解する。本講義では生命の維持のために基本的に有している呼吸、消化、循環、生殖機能を中心に学び、生命現象を包括的かつ多層的に理解することを目的とする。
運動生理学  基本的な人体の構造と機能の理解を通じて、運動実践の急性的および慢性的な影響、効果について学び、身体と運動の関係を科学的知識に基づいて考える観点を養う。
応用運動生理学  運動生理学で学んだ基礎的知識をベースに、健康づくり運動の理論についてより多角的な視点から学ぶ。具体的には各種トレーニングの方法とその効果、青少年期から老齢期に至までの身体的特徴に応じた運動との関わり方、性差や体格(肥満や痩せ)、体力差を考慮したトレーニング方法など、多くの視点から運動(トレーニング)の効果や方法について考えられる力を身に付ける。
運動生理学実験  運動生理学や運動生理学演習で培った知識をもとに、実験計画の立案から実験の遂行、データの分析、実験報告書の作成までを行い、運動生理学分野における課題を解決するために必要な研究手法の習得を目指す。
発育発達学  発育発達学は人間として誕生してきた瞬間から成人として成長するまで起きる変化について概説する。成長の過程で体に起きる変化を形態から捉えると共に、発達を促す内的外的要因とスポーツとの関わりを中心に学習する。日常生活における身体活動(生活活動や運動)が健康や発育発達に与える影響についても学ぶ。
老齢学  医療技術と高齢化が高度に進展しつづける現代において、老いることの医学的、社会的意味を解説し、加齢による社会的・身体的変化や日本の高齢化対策に関する法律・制度とその実践を学ぶ。また、社会のなかでの高齢者の位置づけや役割の変容、高齢者自身の意識や若年者の高齢者に対する見方の時代変容を考える。高齢者や高齢社会への多様な視点を養いつつ、高齢社会の諸課題への取り組みを考える。また,高齢者の日常の生活活動が健康に与える影響についても焦点を当て学んでいく。
病理学  疾病を理解するためには細胞・組織・分子レベルで生じている変化を正しく理解する必要がある。そのためにまず生体の恒常性を乱す外的な要因と内的な要因について学び、その結果生ずる変化を細胞レベル、臓器レベル、さらには分子レベルで理解する。各論では循環器、呼吸器、消化器、内分泌、脳神経系、泌尿器系を中心に、主に中年期以降に好発する疾患について、その経過を理解し、病状を正しく把握する能力を身につける。
病態治療学  本講義では薬物療法を中心に疾病の治療法について学ぶ。まず薬物と生体の相互作用の結果起こる現象とその機構を理解し、薬物による疾病の治療や再発予防に関する理論的な基礎を学ぶ。また、主要な疾患に用いる薬物について作用機構、薬物の特徴などを学ぶ。さらに薬物による副作用や相互作用および薬剤の管理と与薬について学ぶ。また、手術、放射線治療など医療機関で行われる種々の治療法について概要を学ぶ。
専門教育 身体活動・健康科学コース専門 健康身体科学 救急処置法  日常生活において事故現場に遭遇したり高齢者の疾患が急変する状況に出会す場合がある。またスポーツを指導している現場では外傷や疾病等により救急処置が必要とされる場面に遭遇する可能性がある。その際救急隊が到着するまでの一次救命処置の有無が救命率に影響を及ぼしている。本講義では各種の救急処置に必要な対処法を理解し実践する能力を身につける。
栄養学  近年の食生活の変化に対応し、食を通じてヒトが健康であるための栄養学的知識、すなわち食と健康について学習します。食品の持つ基本的な栄養的役割とともに、食物摂取と免疫機能との関係、食餌性アレルギー、肥満および生活習慣病の分子メカニズムについても学びます。なお、この授業は、以下の2点を主な目標とします。
a。 食品の各成分がどのように体内で消化・吸収されどのように健康に寄与しているのか(栄養学的意義)、また、栄養素の細胞内での代謝(生化学的意義)など食物の持つ栄養的機能を包括的に理解する。
b。 食品と健康との密接な関係を科学的側面から理解するとともに、現代の健康テーマである「生活習慣病」に対する正しい食のあり方についての知識を習得する。
スポーツ心理学  健康や体力づくりを目指した運動・スポーツの実践において、指導者の果たす役割は極めて大きい。本講義では、スポーツ心理学に関わる知見のなかから、運動技能獲得のメカニズムの理解とそれに基づく指導計画のあり方、運動の促進と継続にかかわる動機づけのメカニズムの理解とそれに基づく指導のあり方、適切な集団づくりのための社会心理学などについて学び、指導者として運動・スポーツ指導を行うために必要な心理学的基礎を理解することを目的とする。
被服生理学  人の運動や動作による皮膚の伸縮を動的計測し、人の動きに適正に追従し、サポートする被服素材について学ぶ。被服による筋肉の疲労軽減や運動パフォーマンスの向上も考える。また、衣服内の温湿度をコントロールするとともに、接触冷感、発汗時の汗処理、生地の発熱などに最適化した被服素材についても学ぶ。本講義によって、人間の健康に及ぼす被服の役割について理解することができる。
健康衣料素材学  人間は生まれると、すぐに産着やオムツを身に付けるようになる。衣服は体温を維持し、危害から体を守っている。衣服は、私たちの心とからだの健康の維持に、常に大切な役割を果たしている。本講義では、一般的な被服素材の機能や役割を学ぶとともに、健康生活を維持するため、抗菌、消臭、UVカットなどの新規な機能性を有する健康衣料素材について学ぶ。また、健康を維持するために有益な衣料素材のあり方を理解するとともに、将来、有望とされる衣料素材に対する関心を持つことができる。
スポーツウェア設計工学  スポーツにおけるウェアの役割は非常に大きく、その進化は目覚ましい。また、スポーツの種目によってもウェアに求められる機能は異なる。例えば、競泳用水着は体にぴったりフィットすることが求められ、水抵抗の低減も非常に重要となる。素材の伸縮性の良さや衣服圧や素材伸縮性、吸湿性や撥水性など、スポーツウェアを設計する上で重要なポイントとなる。これらのスポーツウェアの設計思想を人間工学の視点で科学する。
運動障害者衣料学  福祉分野において、介護衣料の役割は非常に大きい。衣服を着る目的は、体を守る身体機能的なことだけでなく、社会的な意味も大きい。機能的でありながら“おしゃれ”を追及し、社会参加をしやすくする衣料のあり方を学ぶ。衣料の脱着が容易なことは当然のこと、運動障害者が負担なく生活をおくることができる衣料に関して、科学の視点から学ぶ。
テニス・卓球・バドミントン  生涯スポーツとして、用具を用いるネット型の球技として位置づけられるテニス・卓球・バドミントンの、基礎的技能を自らが習得する.技能を習得する過程を通じ、ネット型球技の基本的な運動特性を理解するとともに、基礎的技能や態度、知識・思考・判断等の内容を指導するための基本的な資質や能力を身につけることを目標とする。授業は、各時間のはじめに基礎的な理論についてのガイダンスを実施しその後実習形式で行う。
専門教育 身体活動・健康科学コース専門 健康社会科学 スポーツ文化論  現代社会において、極めて重要な社会現象となっているスポーツを、歴史・社会的視点から実証的に分析します。特にスポーツやそれに関連する他の諸現象をめぐる人々の相互行為、社会関係から制度や体制及びそれらの構造・機能・変動などを研究課題として具体的にはスポーツにおいて形成される個人、文化、集団、制度などを家族、地域、経済、教育などとの関連で取り上げる。
スポーツ経営学  スポーツの普及や振興のための条件整備やスポーツ事業を直接営む働きである経営の具体的な内容や方法を支える基本的な理論を口述します。具体的には人びとのスポーツ実践・行動の成立・維持・発展に必要なスポーツそれ自体及びスポーツに関わる環境条件を提供する社会的営みについての諸事象を取り上げる。
スポーツマーケティング論  スポーツに関わる様々な経営体がスポーツ行動・実践者の必要や欲求を満たし、経営体の目的を達成するためにスポーツ製品の生産、価格、普及・促進及び流通の諸活動を計画し実行する過程におけるスポーツサービスの方法を取り上げ、その基本的な考え方と諸課題について学ぶ。
次世代ヘルスケアビジネス論  高齢化社会を迎え、ヘルスケアに対する関心が非常に高まっている。そのため、経済産業省の主導のもと「次世代ヘルスケア産業協議会」も設立され、関連施策を推進するようになった。次世代のヘルスケアビジネスによって、国民のQOL(生活の豊かさ)の向上、国民医療費の抑制、雇用拡大及び我が国経済の成長に資するものと考えられている。本講義では、医療・介護・福祉サービス、医療・福祉機器、バイオ・薬剤、健康食品、健康ビジネスなどの次世代のヘルスケアビジネスに着目する。経営戦略、新製品・サービスの開発、ビジネス・システムなど、幾つかのビジネスモデルを取り上げ、その理解を深めていくことにする。
地域健康産業論  地域社会の高齢化によって、健康産業に関する需要が増している。また、地域資源を活かした健康産業を支援する必要も高まっている。そのことによって、地域における雇用の創出、地域コミュニティの活性化、医療費の抑制という多くの効果が得られる。本講義では、地域の健康産業の実態と将来について学ぶ。また、山陰両県の幾つかのビジネスモデルを取り上げ、その理解を深める。健康産業の創出による産業振興・雇用創出を目指し、県民への健康サービスの提供を進め、「健康長寿しまね」の推進に寄与する確かな眼を養う。
 本講義は、多職種連携講義とし、、島根県商工労働部産業振興課島根発ヘルスケアビジネス創出支援事業担当者、島根産業技術センター(健康食品プロジェクト)担当者、島根県農業技術センター担当者、市町村の産業観光課の担当者等の協力のもと行う。
環境保健学  21世紀の時代ニーズに対応した社会医学の重要課題をコアとした学生主体・問題解決型・コミュニティ基盤学習を展開する。学習内容は、ヘルスプロモーションやプライマリ・へルスケアなどの予防医学と環境保健、産業保健、食品・栄養保健、コミュニティヘルス、高齢者保健、健康福祉政策、ノーマライゼーション、ソーシャル・キャピタルなどの関わりについて解説する。講義は、地域社会や産業現場で生じている保健・医療・福祉に関する今日的事例を基盤(Case-based)とし、認知心理学的学習概念地図(Concept map)に沿って行い、社会医学的な問題認識力、総合的アプローチ能力、主体的な解決能力を高めることを目的とする。
専門教育 身体活動・健康科学コース専門 健康社会科学 労働と健康  働くことの社会的意味(社会経済的側面、社会通念的側面など)と個人的意味(人生観、健康に対する考えなど)を理解する。人々が快適な職業生活をおくれるよう、 職場における衛生管理(作業管理、作業環境管理、健康管理)は十分その機能を果たさなければならない。本講義では、労働衛生、産業保健の目的を十分に理解し、衛生管理に必要な基本的知識と技能を取得することをねらいとする。 近年、労働衛生分野での中心課題である職域でのメタボリックシンドローム対策、特定健診、特定保険指導、高齢者労働者対策、過重労働(ストレスチェック)、メンタルヘルスケア、受動喫煙防止等について解説する。また、これら健康の管理、増進を行う産業保健スタッフの位置づけと役割、行政の支援活動も解説する。
レクリエーション論  現在社会全体でストレスが高まり、多様な社会的問題が起こっている。このような状況の中、レクリエーションは、福祉・医療、教育、職場、地域社会など様々な場所で行われ、日常生活の活力を回復させ、生活の質を向上させることが求められている。本講義では、レクリエーションの基礎理論として、その歴史と概念、余暇社会と健康問題に焦点をあてる。また、実践理論として、組織、指導者、プログラムと指導方法及びサービスなどに着目する。さらに、応用理論としてコミュニティ、職場、観光、コマーシャルレクリエーションなどの現状と課題、これからの展望について、様々な事例を下に取り上げる。
疫学・統計学  疫学領域では、人間集団における疾病(疾患、健康状態など)の分布とその発生原因を研究する科学としての疫学について、その概念と方法論を述べ、健康・疾病を量的に把握する方法およびそれらの因果関係を証明する方法を教授する。集団をとおして個人に働きかける公衆衛生の方法によって行う健康の維持・増進、疾病の予防について疾患別にとりあげて概説する。さらに、人々の生活環境をより良いものとする目的をもって行われる環境行政・公衆衛生行政の取り組みについても教授する。
統計学領域では、統計的なデータの解析手法に関する理論と実際の適用法について学ぶ。健康科学分野で頻繁に用いられる主要な解析法を列挙できるようになるとともに、適切な統計処理手法を選択し、各手法の長所と短所について理解できるようになることを目的とする。
疫学・統計学演習  本講義では、疫学・統計学で学んだ基礎的な知識をもとに、具体的な疫学的、統計学的な処理方法などを実践的に学ぶ。具体的には、ExcelソフトやSPSSソフトなどを用いて、様々な疫学的・統計学的なデータ処理過程を学び、解析法の理解を深めていく。また、算出されたデータを適切に評価したり、諸指標の意味を考察するとともに、各手法の長所と短所についてきちんと説明できるようにし、人間やそれを取り巻く社会・環境の事象を科学的に捉えることを学習する。
専門教育 身体活動・健康科学コース専門 地域実践展開 運動処方論  健康の維持増進には、継続的な運動習慣が重要である。至適な運動実践には、年齢、性別、運動能力、体力や疾病の有無といった健康状態を理解することが重要である。その上で、適切な運動種目、運動強度、運動時間、運動頻度を選択し、望ましい運動を提供することが運動処方である。運動処方の一連の流れを理解し、個人の目的に合わせた適切な運動プログラムを提供できる人材の育成を目指す。理論に加え、実際の現場で行われている例を提示することで、学習者の理解を深める。
運動処方実習  本講義では、運動処方論の授業で身につけた基礎知識をもとに、健康や体力の維持増進の必要性を理解するとともに、健康管理を実践するために必要な知識や技術を習得する。健康管理の知識や技術の理解を深めるために、体組成測定や体力測定などの測定機器を実践的に取り扱う。また、測定された検査値や指標を適切に読み取り、運動能力や健康増進に向けたトレーニングのための運動プログラムを作成できるようにする。
スポーツ指導実習Ⅰ  講義で獲得した健康づくり運動に関する知識をもとに、健康づくり運動の指導方法について実習形式で学ぶ。ストレッチ、ウォーキング、ジョギング、水中運動、レジスタンス運動など、健康の維持増進をねらいとして幅広く取り入れられている運動を安全且つ効果的に指導できるために必要な実践力を身につける。
スポーツ指導実習Ⅱ  体力テストや介護予防に関する体力測定の方法、身体組成の測定方法など、対象個々の身体特性を測定する方法と評価基準について学ぶ。さらに対象の特性に応じた運動指導プログラムの立案、運動指導の方法について実習形式で学ぶ。
・生活習慣病予防および改善のための運動、介護予防と運動
・介護予防に関する体力測定方法とその評価、身体組成測定とその評価
社会スポーツ施設実習  地域住民を対象に行われている健康増進活動について理解を深めるため、体育・スポーツ施設などにおいて実習を行う。運動を軸とした地域の人々の充実したライフスタイルの確立に必要とされる指導計画の立案、運動指導、管理運営等に関する実践的能力を養う。学内の講義や実習で身に付けた知識や技術を基にして、実習先では直接地域住民の方々に対して運動指導を行い、実技指導力(地域実践力)を高める。また、指導計画の立案や施設の経営管理等に対する理解も深め、運動を介した課題解決方法について学ぶ。
社会保健施設実習  地域住民の健康をどのように把握し、そこからどのようにして問題点を抽出していくのか、また地域に特有な問題点について理解を深めるため、住民健診が行われている現場等において実習を行う。自治体が行う健康増進活動や、地域住民が多く参加する特定健康診査に参加し、専門職の指導のもとこれらの活動の一部を行い、地域住民が抱える健康問題と地域環境問題とを理解する。
専門教育 身体活動・健康科学コース専門 地域実践展開 インターンシップ(就業体験)  夏休みなどの長期休業期間を利用し、興味・関心のある職場(企業・官公庁等)で一定期間(受け入れ先によって異なるが、5日間から1ヶ月程度)受け入れてもらい、就業の実際を疑似体験する。このようなインターンシップ(就業体験)を通じて職業への意識・関心を高め、就職活動や卒業後の社会的・職業的自立に必要な知識・技能・態度の基礎を身につけることを目的とする。実際のインターンシップの前後に、事前指導と事後指導を実施する。
アドバンス リサーチ・インターンシップ  教員の行っている研究のアシスタントを行う。各学期で募集されるリサーチ・インターンシップの一覧が掲示され、希望する学生は、それぞれの教員とコンタクトをとり応募用紙に記入して応募をする。応募用紙には、関連する授業の修得状況、関連する経験・技能、何を得ようとしているか、目的、活動できる曜日・時間などを記入する。受講が認められた学生は、研究の実施、分析、材料作成、ミーティングへの参加など、教員の指示に基づいて研究の補助を行う。
オーナード論文  大学院でさらに研究をしたい学生、研究についてより深く理解をしたい学生を対象とし、高度な論文を作成することを目的とする。論文を作成するに当たり必要な文献の講読、問題点の探求と整理、研究の実施、研究結果に基づいた論理的な考察、高度なアカデミックライティングやプレゼンテーションなどを、教員の指導の下に身につける。
海外研修  本研修はスエーデンのルンド大学の協力を得て実施する海外研修であり、基礎的な英語コミュニケーション能力の向上をはかり、異文化交流体験を通じて国際性を養うことを目的としている。
卒業研究  学びの集大成としての卒業論文を完成させる。このために、自らの問題関心を確認し、それに基づいた研究課題を設定する。文献・資料等を探索・収集・整理するなかで、研究課題を再検討し、設定し直された研究課題に基づいて、よりいっそうの資料収集や実地調査に取り組み、分析を進める。資料や調査結果の分析に基づいて考察を深め、その結果を論理的かつ明晰に文章化し、論文を作成する。